進学先の地元志向「北海道」49％…地方と都市圏で格差

　スタディプラスのStudyplusトレンド研究所は2025年8月、全国の高校生を対象に「進路と地域に関するアンケート」実施した。調査結果から、都市圏から離れた地域ほど、進学に対する経済的なハードルを感じやすいことなど、地方と都市圏における進路選択の格差が明らかになった。

　「進路と地域に関するアンケート」調査は2025年8月8日から8月13日にかけて、学習管理アプリ「Studyplus」上で全国の高校生を対象に実施し、1,703名から回答を得た。

　進学先の検討について、「市町村内」と「都道府県内」をあわせた数値（都道府県内を希望）がもっとも高いのは北海道（計49.4%）となった。また関東、近畿は「地方外」が2割程度で、8割が地方内への進学を希望している。一方、「地方外」を検討する割合がもっとも高かったのは中国地方（61.8%）だった。

　家庭の経済状況が進学に与える影響について、北海道・東北・九州のスコアが高かった。一方で、関東や近畿はスコアが低く、地方と都市圏との格差が改めて明らかになる形となった。大学設置数や自宅から進学先までの距離と相関がありそうだ。

　進学する地域に関して保護者はどのような考えがあるかについて、「特に意向はない」と回答したのがもっとも多かったのは関東だった。一方、保護者が「地元を希望している」割合がもっとも高かったのは北海道で、続いて近畿、九州、中国となった。保護者が「地元以外を希望している」割合が多かったのは四国と中部である。

　進路の情報をどこから得ているか地方別にみると、「大学の公式サイト・資料」がすべてのグループで最多となっている。その次が「SNS」である地方が多い中、北海道では「学校の先生」が16.9%で2番目になっている。

　大学に関する情報量については、どの地域も6割が「ある程度満足している」と回答し、大きな地域差はみられなかった。一方で、自由回答では「地域によって情報やアクセスに差があると感じる」などの声が寄せられた。

　Studyplusトレンド研究所は今回の調査について、「地域と進路選択」をテーマに、経済状況と情報の観点から分析を行ったとしている。経済状況については、「家庭の経済状況が進路選択に影響する」と考える割合は地方で高く、都市圏で低くなった。特に九州や北海道でこの傾向が強く出ており、都市圏から離れた地域ほど、進学に対する経済的なハードルを感じやすいことが改めて明らかになった。

　進路に関する「情報量への満足度」や「情報入手経路」については、大きな地域差はみられなかったが、自由記述では北海道・東北・九州の高校生から「レベルの高い大学を地方に作ってほしい」「地方勢は難関大に受かった身近なモデルが乏しい」など、都市圏との差を訴える声もあった。

　同研究所は、地方と都市圏との格差は健在で、今後より広がる可能性があるとし、「大学それぞれの魅力は適切に伝わっているか」改めて検討し、高校生が納得のいく意思決定ができるように、支援が必要だとしている。