
日々が飛ぶように過ぎていくなか、自分のあり方に漠然と迷う40代50代。まるでトンネルのように横たわる五里霧中ですが、そんななか「ほんのちょっとしたトライ」で自分のあり方を捉えなおすには、「最初の一歩」に何をしてみればいいのでしょうか。
ライター野添ちかこがオトナサローネ読者にインタビューを行い、リアルな女性の人生をお届けする本シリーズ。経理の仕事をしている52歳のエイコさんが、あることをきっかけに、27年ぶりに資格取得の勉強を始めたお話をお届けします。
◾️エイコさん
福岡県在住の52歳、会社員。53歳の夫、専門学校3年の娘と3人暮らし。大学2年の息子は熊本県で一人暮らし中
【私を変える小さなトライ#41】
小さな会社の経理を14年担当して
子どもが小学校に上がる頃、今の会社に入社したエイコさん。8名ほどの社員がいる小さな会社で、創業社長とともに、人事や労務、経理など会社のバックオフィス業務をこなしてきました。
マンションの管理組合で会計の仕事をしたことはあったけれど、エイコさんにとっては初めての経理の仕事。税理士事務所や会計事務所が、領収書の並べ方からファイリングの仕方まで、手取り足取り教えてくれたことで仕事を覚えることができました。
人間関係もよくて、このまま勤め続けるのがいちばん楽ではあるけれど……。
あることをきっかけに、「新しいフィールドを探してみたい」と思い始めたのだといいます。
青天の霹靂。ある日突然、創業社長が急逝
それは、ともに会社を創り上げてきた、創業社長が53歳という若さで、急逝してしまったことでした。
「同年代の代表が亡くなる」
このショッキングな出来事によって、「今のままでいいのか。自分はこれから、どうしたいのか?」を真剣に考えるようになりました。
「人生は有限。長く勤め続けるならば、もっとゆるやかな働き方をしたい」
現在の会社は、朝7時30分に家を出て、夕方18時30分に帰宅します。駅まで20分自転車を漕いで、さらに満員列車に揺られて通勤する日々。列車に乗る時間は短いものの、駅から会社まで20分近く歩かなければならず、年齢とともに通勤時間がつらく感じられるようになってきました。
「新しいフィールドを探すなら、少しでも早い方がいい」
退職を決断するまでに時間はかかりませんでした。
「これからは、会社のためではなく、自分のための人生を歩んでいこう」
そう考えたエイコさんは、簿記の資格取得をしようと考えました。
「これまでの経験を形にしたい」と簿記の勉強を始める
挑んだのは「簿記3級」。「転職するなら、これまでの経験を形にしたほうがいい」
お金はかけず、本屋さんでテキストを1冊だけ購入して、帰宅後の夜21時から2時間、勉強しました。休みの日は朝8時から夕方17時まで、机の前に座っていました。
25歳のときに「宅建」の資格取得をしたことがありましたが、何かを勉強するのは27年ぶり。簿記3級は宅建資格よりハードルは低いはずですが、勉強の仕方すら忘れてしまっていたエイコさんは、苦戦します。
「実務をしているから大丈夫だと甘くみていたら、テスト対策のために必要な知識は、実務とは別物。なかなか頭の中に入ってこないんです」と焦りが募りました。
問題を解いてみると2割も解けず、2回目、3回目と挑戦しても正答率は5割もいきません。
「合格までは長い道のりになるかもしれない……」そう覚悟を決めました。
後編▶▶「『イヤなことから逃げるタイプの私でも、好きなことならできる』52歳で簿記資格をとって転職準備」
では、52歳のエイコさんが簿記3級に合格。弾みをつけたエイコさんがチャレンジし始めたことについて、お届けします。



