首都圏模試センターの推定では、首都圏の2025年における私立・国立の中学受験者総数は5万2,300名(前年比99.8%)と過去40年で3番目の受験者数の多さとなり、受験率は18.10%と、過去2番目の高さとなっている*。
少子化が進む中、過熱が続く中学受験。編集部では、今回のアンケートから見えてきたリアルを掘り下げていきたい。*出典:首都圏模試センター「1998~2025年入試までの受験者数の推移(私立・国立中学校)【2025.2.17ほぼ確定版】」
中学受験の塾以外の習い事・1位はスポーツ、2位は音楽、3位は…?
本アンケートの回答者の中で、中学受験を「した」と回答したのは306名で、全体の94%にのぼった。
中学受験は多くの子供たちにとって負担が大きいが、習い事との両立は可能なのだろうか。
「中学受験の塾や家庭教師以外に習い事をしていたか?」という問いに対し、1位がスポーツ(66.0%)、2位が音楽(39.9%)、3位は英会話(33.0%)となった。東大生の3人に1人が通っていたと言われる公文式は、書道(20.3%)と僅差で5位(19.9%)だった。
中学受験で習い事をすべて続けたのは「2割未満」という結果に続いて、「習い事は続けましたか?」という問いに対しては、「一部辞めた」が45%、「すべて辞めた」が37%となり、「すべて続けた」は18%と2割に満たない結果となった。
多くの家庭で、中学受験と習い事との両立に苦労しているようすがうかがえる。
・本など机上の知識より、いろいろ経験することは大切だった。中学受験は盲目的になりがちだが、広い視野をもったほうが良いと思う。後々のことを考えれば、習い事も続けていた方が良かったなぁと反省している。・わが家は習い事を一部辞めたが、いま振り返ると、子供のタイプに応じて勉強量のさじ加減を考え、気分転換となる習い事は辞めない方が良かったと感じている。中堅校狙いで、4年生、5年生である程度やっていれば、6年生で追い込んでも結果はあまり変わらなかったかもしれない。
・スポーツ、音楽、英会話と、習い事はすべて続けた。受験だからといって、続けたい習い事を辞めなかったことで、子供の精神のバランスが取れていたと思う。受験勉強一色ではなく、どこかで気分転換できる時間も作ってあげてほしい。
・スポーツとそろばんをやっていたが、すべて続けた。習い事やスポーツも続けながら勉強と両立できる方法や、勉強を忘れてほかのことを楽しめる方法を一緒に考えてあげてほしい。
・特に4年生、5年生のうちは習い事や遊びの時間を十分に作ったほうが良い。勉強と両立できる余裕がないと、6年生や中学に入ってから回らなくなる。
・「習い事もしたい」「友達と遊びたい」という娘の気持ちも大切にしたいと考え、マイペースに学習を進めることができる四谷大塚の通信のみで頑張り、習い事はすべて続けた。努力の甲斐があり無事に第1志望校に合格し、毎日楽しく通学する娘を見ると心の底から受験を選択して良かったと思う。
・習い事(ダンス系)を辞めずに両立したかったので、塾なしでZ会のみで中学受験をした。Z会は幼児のころからやっていて、小学3年生で中学受験コースに切り替えた。偏差値的には四谷大塚偏差値では50半ばの中堅校が娘の第1志望で、習い事もギリギリまで続けながら合格した。
・子供が小さいうちは旅行や好きな習い事など、楽しい経験をさせたいという思いから、わが家は「中学受験をしない」という選択をした。それでも今は、東大、一橋大、東工大レベルの大学に通っている。
習い事を続けるか辞めるか―迷いを整理するための視点
中学受験のための勉強は、本格的には3年生の2月あたりから始まり、5年生、6年生と学年が上がっていくに連れて学習量は大幅に増えていく。6年生にもなると祝日に模試も多い。そのため、習い事との両立が難しくなるのは想像に難くない。しかし一方で、せっかく続けてきた特技や趣味を何とかして続けられたら…という思いもあるだろう。
中学受験生の習い事との両立について、YouTubeチャンネル「ホンネで中学受験」/個別指導塾Growy代表のユウシン氏は次のように語る。
「習い事と受験の両立、正解がないからこそ悩みますよね。確かに、大手塾で難関校を目指す一般的なスケジュールでは、6年生の夏以降、習い事に時間を割くのが難しくなるのが現実かと思います。
しかし、中学受験のスタンスはご家庭によってさまざまであり、決して『1つの型』に当てはめる必要はありません。極端な話、特定の習い事を生活の中心に据えて、受験をその次に考えるという選択があっても良いのです。
大切なのは、周りの情報に惑わされず、『わが家は何のために受験をするのか』という軸をご家族でしっかり共有すること。その目的さえ定まっていれば、習い事を続けるか、一区切りつけるか、納得のいく答えが自ずと見えてくるはずです。」
中学受験は、子供の個性も家庭の考え方も1つとして同じものはない。だからこそ、習い事を続けるかどうかに“正解“はない。大切なのは、「わが家は何を大切にしたいのか」「子供にどんな6年間を過ごしてほしいのか」を家族で共有すること。その軸さえぶれなければ、どの選択をしても後悔のない受験になるのではないだろうか。



