光石研「ぼくたちん家」初期設定から一変した“ロクデナシ父”ができるまで 及川光博×手越祐也の魅力・凄みとは【インタビュー連載Vol.4】
芸能
モデルプレス/ent/wide/show3
【写真】手越祐也&光石研、激しく奪い合う姿
◆及川光博主演「ぼくたちん家」
本作は、心優しきゲイ・波多野玄一(及川光博)、クールなゲイの中学教師・作田索(手越祐也)、そして、トーヨコ通いの訳ありの中学生・楠ほたる(白鳥玉季)という“社会のすみっこ”で繋がった3人による奇妙なホーム&ラブコメディとなっている。
光石は、ほたるの“ロクデナシ父”・市ヶ谷仁を演じる。
◆「ぼくたちん家」“ロクデナシ父”仁ができるまで 共演者から得たヒント
― まずは、本作のオファーを受けた時の心境を教えてください。
光石:プロデューサーの河野(英裕)さんとは何度もご一緒しているのですが、今回もまたエッジの効いた話で、河野さんらしい題材だなと思いました。そんな作品に参加させてもらえるのはとても光栄でしたし、どんな展開になるのか楽しみでした。
― 光石さん演じる仁は“ロクデナシ父”ということで、視聴者から見ると一見悪役のようにも映ってしまうと思いますが、光石さんご自身は仁というキャラクターをどのように捉えていますか?
光石:ぱっと台本を読んだ印象では、仁はもっと悪人にもできたと思います。スタッフのみなさんと衣装や髪型を決めるときも、最初は真っ黒のスーツに髪の毛をオールバックにして、もっとワルな雰囲気にしようかと考えていました。でも河野さんを筆頭に衣装さんやメイクさんと話す中で、仁って本当は弱い人で“小悪党”なんじゃないかなと。だからナチュラルな麻のジャケットにして、髪も決めすぎない方が情けなく見えるのではないかなと思い、どんどん削ぎ落としていきました。スタッフの方々が、光石研にこういう感じで演じさせたら面白いんじゃないかと考えてくださり、情けない男になっていきました(笑)。
― 実際に演じてみていかがですか?
光石:ダメな親父ですが、少し角度を変えて見たとき、小悪党で少し抜けているところがチャーミングに映ったらいいなと思いました。仁について、坂井(真紀)さんや麻生(久美子)さん、メイクさん、衣装さんがいろいろなことを言ってくださって、それがすごく参考になりました。
― 麻生さんと坂井さんは、どのようなことをお話されていたのですか?
光石:何気ない会話の中で「仁はダメだけど可愛らしいよね」といったことを言ってくださりました。アドバイスということではなく、みなさんの日常会話の中で自然と出てきた言葉を参考に演じています。
◆及川光博×手越祐也の魅力
― 本作は、及川さんと手越さんによる“玄索”コンビが主軸となり、様々な物語が展開されていきますが、光石さんから見たお二人の魅力を教えてください。
光石:及川さんと手越さんのコンビネーションが抜群だと思いました。お二人とも音楽をやっていらっしゃるからなのか、自然と調和するんですよね。あくまでも僕のイメージですが、お互いに押したり引いたりしながら波長を合わせて、一つのハーモニーが生まれているなと感じました。
― 主人公・玄一が自分らしく逞しく生き抜く姿に勇気をもらっている視聴者も多いと思います。光石さんは、玄一に対してどのような印象をお持ちですか?
光石:とても難しい役だと思うのですが、及川さんが上手く咀嚼して表現されていると思います。玄一はいろいろなことを背負いながらも、前に進もうと強く生きている、何かを掴もうとする男なんです。そんな彼のキャラクターを及川さんが見事に体現されているなと、現場やオンエアを見てつくづく思います。
手越さん演じる索も難しいキャラクターだと思うのですが、お二人がユーモアのある部分とシリアスな部分の塩梅をしっかり理解した上で、物語が暗くなりすぎないように演じられているところがすごいなと感じます。
― 現場も和気あいあいとした雰囲気なのでしょうか?
光石:そうですね。手越くんは明るいですし、及川さんはとても頼もしい座長です。視野が広く、みんなに声を掛けていますし、ほたるちゃん(白鳥)に「大丈夫?」「疲れてない?」と気遣う姿を見かける度に、さすがだなと思いました。
◆光石研の“夢を叶える秘訣”
― モデルプレス読者の中には今、夢を追いかけている読者がたくさんいます。そういった読者に向けて、光石さんの「夢を叶える秘訣」を教えてください。
光石:若い人にお伝えしたいのは、ご自身が見つけた好きなことを突き詰めてほしいということ。いっぱいあっていいので、1つに絞らず、いろいろなことをやってください。幼稚園の頃、夢中になって砂場で遊んで、パッと周りを見たらもう日が暮れている、みたいなことありましたよね。そういう夢中になれる物事を見つけるといいと思います。それを見つけたら、もう大人の言うことは聞かなくていいです(笑)。もちろん素敵な大人もたくさんいらっしゃるので、ちゃんと見極めながら、自分の気持ちを大事にして進んでいくことが大切だと思います。
― 光石さんご自身も、俳優の仕事が好きだからこそ続けてこられたのでしょうか?
光石:そうですね。僕は映画の現場を経験して、面白いと思ってこの世界に飛び込みました。その時、周りの大人にいろいろ言われたこともありましたが、自分を信じてたくさんのことを経験した方がいいと思います。
今の若い人たちは僕たちよりいろいろなことを知っているし、ChatGPTみたいな便利なものもありますよね。僕は全く使えないのですが、この間ChatGPTで会話ができると聞いてびっくりしました(笑)。もう僕たちおじさんは何も知らないので、若い人たちは周りを気にせず、自分の好きなことをやり続けたらいいと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
◆光石研(みついし・けん)プロフィール
1961年9月26日生まれ、福岡県出身。高校在学中に曽根中生監督「博多っ子純情」(78)のオーディションを受け主役に抜擢される。以降、映画・ドラマを中心に様々な役を演じる。近年の主な出演作は、ドラマ「アンサンブル」(日本テレビ系)、「僕達はまだその星の校則を知らない」(カンテレ)、「大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜」(テレビ朝日系)、「失踪人捜索班 消えた真実」(テレビ東京系)、映画「逃げきれた夢」「波紋」「夜明けのすべて」「でっちあげ〜殺人教師と呼ばれた男」「夏の砂の上」「ナイトフラワー」など。待機作に、映画「ほどなく、お別れです」(2026年2月6日公開)がある。
【Not Sponsored 記事】
《モデルプレス》


