
こんにちは。神奈川県在住、フリーライターの小林真由美です。ここ数年のマイテーマは「介護」。取材でも高齢者にまつわること(介護のほか、終活や相続・遺言など)に関わる機会が増えてきましたが、どこか他人事でした。それがしっかり「自分事」になった途端、驚くほど冷静さを失ってしまったのです。
【アラフィフライターの介護体験記】#30
前回の記事◀◀「なんか臭う…」義母はお風呂を拒否し大激怒。一転、認知症の家族を入浴に導いた!「年末の帰宅願望」を逆手にとった意外な方法とは
▶気が重い…。「義母宅の年末大掃除」
「片付けの方法」は忘れても、「物を大事にする心」は忘れない。物があふれる義母の部屋

3年ほど前、脳神経外科にて「認知症」(軽度~中等度)という診断を受けたお義母さん。現在は、我が家の近くにある<サービス付き高齢者向け住宅>(サ高住/食堂付き)で暮らしています。
2025年も残り僅かとなったある日、お義母さんの家へ向かう私の足はいつになく重く、気付くとため息が……。そう、今日は半期に一度の大掃除の日。正しくは、「整理整頓&紛失物を捜索する日」なのです。
ここでいう紛失物は、お義母さんによって「なくなった」とされているもので、おそらく部屋のどこかにはある(であろう)もの。認知症の影響で、「片付けの方法を忘れた」と話すお義母さんは、この年代特有の「物を大事にする心」は忘れておらず、いつの間にか部屋には物があふれるように(涙)。
田舎から引っ越す際、かなりの量を処分してきたはずなのですが、「捨てたくない!」と趣味のもの(手芸用品など)を段ボール5~6箱に詰めて持ってきたため、それらが20ほどの部屋をしっかりと占領することになりました。
そして、いつしかその段ボールは、“何でも入れる箱”に変化。棚から取り出したものを棚に戻さず、この箱に戻すスタイルに。同時に、「○○がなくなった」「○○が見当たらない」という言葉をたびたび聞くようになったのです。
▶認知症による「物取られ妄想」とは?
義母に「犯人はあなた達だったのね!」と攻撃されて…。認知症による「物盗られ妄想」とは?

この「なくなった」で悩ましいのが、状況により「物盗られ妄想」へと発展してしまうこと。認知症では、記憶障害や見当識障害(※)が原因で妄想が起こり、「物を盗まれた」と思い込んでしまうケースがあります。
(※)認知症の中核症状のひとつ。時間や場所など、自分が置かれている状況が正しく把握できなくなり、「時間→場所→人物」の順番で認識することが難しくなる。
一時期、この「妄想」が酷くなり、「携帯電話が盗まれた」と大騒動になったことがありました。すぐに例の段ボールを探したところ、予想通り発見。しかし、お義母さんは「絶対に盗まれた。これは偽物です!」などと言い続け、再び段ボールをひっくり返し、捜索開始。夜中に「財布がなくなった。早く犯人を捕まえないと!」と電話がかかってくることもありました。
あるときも「眼鏡が盗まれた」と大騒ぎした後に、やっぱり段ボールの中から見つかったので、夫が注意。すると、お義母さんは突然パニック状態になり「きっと犯人は、捕まるのが怖くなって戻したのよ。あっ、犯人はあなた達だったのね!」と今度は夫と私への攻撃が始まって……。
当時、そんな様子を叔母(介護ヘルパーの資格を持つ)に伝えたところ、「まずは否定せず、物がなくなったことを認めてあげるといい。共感する姿勢が大事」といったアドバイスが。
もちろん、叔母の言うことはよく分かる。でも、この状況で共感するって、なかなか難しい。当時の夫と私は、幾度となく繰り返される「物盗られ妄想」に「このままでは自分たちも疲弊してしまう」と思い、少しの間お義母さんと距離を置くことにしました。
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