
「お会いするだけで更年期の沈んだ気持ちが前を向く」「楽しくお話して、気づいたら心にわだかまっていた重いものが消えていました」とファンも多数の産婦人科医・小川真里子先生。現在は福島県立医科大学での診察と併せて、週に一度、東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで更年期外来もお持ちです。
長年に渡って女性特有のトラブルに向き合ってきた小川先生に、更年期時期の女性へのメッセージをいただきます。今回は「手指の痛み」と「睡眠」について。前編記事『更年期には睡眠の質が落ちる。「夜中に目が覚める」「朝あまりに早く目が覚める」場合に私たちが「心がけるほうがいいこと」って?』に続く後編です。
【女性の身体、思春期から更年期までby小川真里子先生】
目が覚めることそのものに悩んでしまう場合、まずは睡眠の状態を客観視して
――前編記事では、年とともに睡眠は短くなっていくものであり、それ自体は心配不要と伺いました。いっぽうで注意すべき睡眠もありますか?
眠れないことで動悸が起きたりして、「私大丈夫なのかしら」と不安になる人もいますが、やはりいちど起きたあともう一度眠れるか眠れないかで対処が異なります。中途覚醒のあとももう一度眠れて、翌日にも影響がないなら治療は必要ありません。が、翌日眠くて仕事にならない、あるいは起きたあと再度眠れないことが毎回とてもしんどいならば、何かしらの治療を検討します。
ホルモン補充療法(HRT)に使われる天然型黄体ホルモン、エフメノでよくなる人もいます。ですからHRTを試すのもいいでしょう。生理前に眠くなるのと同様に、エフメノの作用で眠くなる人もいるのです。
――自分の実際の睡眠がどのような質であるか、私たちはあまりよくわかっていないということですね。
いちばん大事なのは、それが治す必要のある不眠なのかどうかという点です。ご自分が求める眠りを見直していただいて、「私は実は目が覚めるだけだな」ということなら、年相応と納得していただく必要があります。
いっぽう、目が覚めてしまうことでがっかりしてしまうというか、またダメだった、きっと明日も辛いに違いないと気持ちが落ち込んでしまうケースもあります。目が覚めることそのものに悩んでいるんですね。あるいは目が覚める自分になっちゃったことに驚き、どうしようと悩んでしまうケースもあります。
眠り自体が治療しないとならない状態なのか、あるいは年齢に応じた変化の範囲内なのか。仮に睡眠の薬を使ったとしても、それこそ高校生の部活をやっていたころみたいに朝までしっかり寝てばちっと起きる、あの頃の眠りに戻るというのは難しいと思います。大人の日常は基本的に、なかなか調子がいいということがないですよね。眠りについても客観視して、折り合いをつけることが大事です。
>>>私は「夜中に足が攣ります」「動悸がします」その場合は
夜中に動悸がする、夜中に足がつるなど、「睡眠と一緒に起きる症状」は治療できる?
――先ほど動悸の話が出ましたが、個人的な話で恐縮です、私は動悸が昼間に出ます。夜中に出る人もいるのですね?
夜中に目が覚めるのと前後してドキドキと動悸がすることで「私はおかしいのでしょうか」と慌てて来院する人がいます。動悸や胸のあたりの嫌な感じは典型的な更年期症状のひとつで、突然ドキドキとしだして数分すると落ち着くこと多いのではと思います。これもまた、更年期に動悸が起きるだなんて教わってないので不安になる人も多いのです。
明け方目が覚める直前に起きるという人が多いのですが、実は原因はわかっていません。大きく言って自律神経失調症状だからです。
――そういえば、私は明け方に足がつります。これも更年期症状と聞きました。
確かに、夜中に足がつるという訴えは更年期に増えます。ただ、これは更年期症状と言い切れません。更年期以降もあると思うのでどちらかというと加齢かなと思います。日頃の筋肉の使い方やむくみなどの関係もあると思います。
動悸がどんどんひどくなっていく場合は他の病気かもしれませんから、そういうケースでは不整脈などを調べたほうがいいでしょう。内科の受診をお勧めします。いろいろな種類の不整脈があり、動悸は頻脈という意味では不整脈の一種ですが、病的な頻脈かで判断が変わります。
スマートウォッチでこうした心拍に関するモニタリングができるようになりました、ある程度は活用できますが、すべてを検出してアラートするわけではないので、やはり気になるならいちどは内科を受診してください。朝方少しドキドキと動悸があり、更年期症状が他にある場合は産婦人科でもよいと思います。ない場合は内科がよいと思います。
つづき>>>更年期には睡眠の質が落ちる。「夜中に目が覚める」「朝あまりに早く目が覚める」場合に私たちが「心がけるほうがいいこと」って?
お話/小川真里子先生
福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授
1995年福島県立医科大学医学部卒業。慶應義塾大学病院での研修を経て、医学博士取得。2007年より東京歯科大学市川総合病院産婦人科勤務、2015年より同准教授。2022年より福島県立医科大学 特任教授。日本女性医学学会ヘルスケア専門医、指導医、理事。日本女性心身医学会 認定医師・理事。日本心身医学会 心身医療専門医・代議員。2025年11月から福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 教授。東京・JR五反田駅のアヴァンセレディースクリニックで、毎週金曜午前に完全予約制の更年期・PMS外来もお持ちです。



