本作は、これまでに描かれてきた妖怪の昔話や恐怖ドラマではなく、美しくも恐ろしい、恐ろしくも哀しい、哀しくも忘れ得ぬ愛のドラマ。人々に語り継がれてきた「すねこすり」の普遍的な伝承に新たな解釈を加え、圧倒的な映像美で描く新しい物語。
この世とは隔絶されたような世界観を作り出した一人、柘植氏は、1979年から美容業界で活動し、手塚眞監督『白痴』でヘアメイク監督を務めて以降、『キューティーハニー』、『シン・ゴジラ』、『翔んで埼玉』など様々な映画・ドラマでヘアメイク監督、ビューティーディレクター、キャラクターデザイン、人物デザイン監修などを務め、「岸辺露伴は動かない」シリーズにも参加。
高橋は「お芝居について直接言及されることはないのですが、いつもフックになるようなもの、ヒントになるようなものを一緒に作ってくださっているような気がします。衣裳に関しても『これはどのような時に使っていて、これはなぜその場所にあったのか』ということも含めて、柘植さんたちと話しながら作っていきました。それが役作りにつながっていた感じです」と語り、監督の渡辺一貴も「柘植さんはもちろん全てが素晴らしいのですが、デザインだけではなく、現場で何が必要かというアイデアもくれる。柘植さんは“もう一人の監督”というか、違うアプローチから演出に対しての問いかけをくれるので、とても刺激になります」と信頼を寄せている。
また、人物デザイン監修について「人物を構成している衣裳や髪型、化粧、小道具など“扮装”の統括」と定義している柘植氏は、本作でもその土地とキャラクターに合ったコンセプトを作り上げたそうで、さゆりと若い男が履く長靴は「水があったり、雪が降る中で一番適切なものは何かを考えた時に、長靴を履くんじゃないかなと思って。しかも長い綿入れ(どてら)に長靴を履くのは“あり得るけれど、違和感がある”。それがちょうどいいなと思ったんです。その“違和感”は魔境の世界の感覚で、“あり得る”という感覚は現実世界。その両方が同居する話なので、扮装そのもの、人物デザインの中にもその両義性が入り込むと良いかなと思ったんです」と説明。
観客を“現実世界”から“魔境”へと誘うデザイン画。奥深い山の厳しい寒さのための防寒、生活する上での動きやすさといった現実的なアイテムで構成されながら、現実とはどこか異なる違和感を生み出している。
『脛擦りの森』は4月10日(金)より全国にて公開。


