大学定員増が親の学歴による格差を拡大…学習院大が実証研究
子育て・教育
リセマム/教育・受験/高校生
同研究グループは、高度経済成長期から2010年代に至るまでの長期データを用い、都道府県ごとの大学定員の変化が個人の大学進学行動に与える影響を分析した。日本では大都市圏と地方部で大学進学率に大きな差があり、その原因として大学立地の偏りが指摘されてきた。しかし、大学定員の増加と進学率向上の因果関係や、家庭環境による反応の差異については十分に検証されてこなかった。
同研究では、複数の社会調査から得た1942~1996年度生まれ(1960~2014年度に高校卒業相当)のデータと、「全国大学一覧」「国勢調査」などの公的統計を接合して分析した。18歳時点の居住都道府県および通学可能な近隣都道府県における大学利用可能性を測定し、二方向固定効果モデルを用いて、大学定員の変化が大学進学確率にどう影響するかを検証した。
分析の結果、居住地域や近隣県で大学定員が増加すると、子供の大学進学確率が上昇することが明らかになった。これは、1976年から1992年にかけて実施された大学の地方分散政策が、進学率の地域間格差の縮小に有効であったことを示している。また、分析範囲を近隣県まで拡大することで、より適切に大学利用可能性を測定できることもわかった。
一方で、大学定員の増加はすべての家庭に均等な恩恵をもたらすわけではないことも判明した。親の職業別では有意な差は見られなかったが、親が高等教育(短大高専以上)卒である家庭の子供は、周辺の大学定員が増えると進学確率がより大きく上昇していた。この結果は、大学定員の偏在を解消するだけでは出身階層間の不平等は解消せず、場合によっては格差を拡大する可能性を示唆している。
同研究は、大学供給の拡大が地域格差の是正に寄与する一方で、出身階層間の格差縮小には別の政策が必要であることを示した。今後は、市区町村単位の細かな分析や性別、学校種別による影響の違い、進学にともなう地域移動が人口集中に与える影響など、より広い視野での分析を進める方針だ。同研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金などの助成を受けて実施された。
《吹野准》
この記事の写真
/


