ショート動画で語彙不足「9歳の壁」を越える読む力の重要性
子育て・教育
リセマム/教育・受験/小学生
現代の子供たちは、家に帰ればYouTubeなど動画やゲームにすぐアクセスできるなど、保護者世代とは異なった環境の中で育っている。動画は、そのものが悪いわけではなく、時には動画から知識を得たり、興味の入り口となったりすることもある。
しかし、ショート動画のようなコンテンツには、自分の頭で情報を組み立てなくても楽しめ、受け身の姿勢が定着するという見過ごせない特徴がある。映像や音声、字幕が情報を補ってしまうため、自ら内容を解釈する力が育ちにくくなるという。
語彙には、日常会話で使う「生活語彙」と、教科書やテストで必要な「学習語彙」の2種類がある(例:「比べる(生活語彙)」・「比較する(学習語彙)」など)。ショート動画中心の生活では、話し言葉である生活語彙には多く触れるが、学びに不可欠な「学習語彙」に触れる機会が極端に不足してしまう。
日常会話に困らないため、一見問題がないように思えるが、学習語彙が不足していると、子供には教科書が「黒塗り」された状態のように見えているという。大手進学塾の浜学園で実施した調査でも、約7割の生徒がテキストを十分に読めていないという結果が出ている。
小学3~4年生(9歳前後)で、子供が急に勉強を難しく感じるようになる時期を「9歳の壁」と呼ぶことがある。この壁を越えられない大きな理由の1つが、学習語彙でのつまずきにあるという。低学年のうちは、比較的身近な内容や、具体的にイメージしやすい言葉が多く使われる。しかし、小学3~4年生にかけて、言葉が具体的な話し言葉から、抽象的な書き言葉へとレベルアップしていく。この「語彙の壁」を越えられないことが、学習におけるつまずきの大きな原因となるという。
語彙不足が深刻化する一方で、中学受験などの入試問題は、思考力を問うために文章が長文化している。学習語彙が身に付いていない子供は、問題を解いて考える以前に、文章の内容を処理する段階で止まってしまう。必要なのは単なる知識量ではなく、文章を読み取り、頭の中で整理し、考えるための「語彙」と「読む力」なのだという。
学習の土台となる「読む力」を育てることは、全教科の偏差値向上だけでなく、子供の知的好奇心を刺激し自ら学ぶ姿勢を育む。読書による学習語彙の習得が、確かな学力と深い思考力を支える基盤となっている。
《木村 薫》
この記事の写真
/


