「うちの子、勉強してるのに伸びない…」3つの誤解を、スタンフォード校長が解きほぐす | NewsCafe

「うちの子、勉強してるのに伸びない…」3つの誤解を、スタンフォード校長が解きほぐす

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「うちの子、勉強してるのに伸びない…」3つの誤解を、スタンフォード校長が解きほぐす
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 「夜遅くまで机に向かっている」「ノートはきれいに取っている」それなのに、なぜか成績が伸びない。そんな"頑張り方の罠"にはまっているお子さまを見て、もどかしい思いをされている親御さんは少なくないはずだ。実は脳科学・認知科学の世界では、何百もの研究を通じて「効率の良い学び方/悪い学び方」がはっきりとわかってきている。スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長で哲学博士の星友啓氏に、新刊『世界の研究に基づいた勉強法大全』の中から、特に親御さんに知っておいてほしい3つの「勉強の常識のウソ」を寄稿してもらった。

【星友啓氏プロフィール】

 スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長。哲学博士。1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業後に渡米し、テキサスA&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士号を取得。同大学の哲学オンライン講義プログラムの立ちあげに携わり、2016年よりスタンフォード大学・オンラインハイスクール校長に就任。著書に『スタンフォード式生き抜く力』(ダイヤモンド社)、『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』(朝日新聞出版)、『脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)など多数。
「頑張っているのに伸びない」のは、お子さまの努力不足ではありません
 「もっとやる気を出して」「集中しなさい」。勉強で苦しんでいるお子さまに、こう声をかけたくなったことはありませんか。けれども近年、脳科学・認知科学・教育心理学の研究が積み重ねてきた知見は、まったく別の結論を示しています。お子さまが伸び悩んでいる原因のほとんどは、「努力の量」ではなく「努力のしかた」にある。これが、世界中の研究室から出てきた共通の答えです。

 ところが、家庭でも学校でも、依然として「読み返す」「色ペンでまとめる」「徹夜で詰め込む」といった、研究では効果が低いとわかっている方法が当たり前のように行われています。お子さまは真面目です。だからこそ、間違ったやり方に時間とエネルギーを注いでしまうと、頑張れば頑張るほど結果と乖離していくのです。

 本稿では、新刊で紹介している50の勉強法の中から、親御さんが今日から家庭で関わり方を変えられる3つのテーマ「学習環境」「思い出す力」「復習のタイミング」を取りあげます。どれも、お子さまを叱らずに、こっそり後ろから支えることができる科学的アプローチです。

1.机の上のスマホは、触らなくても集中力を奪う「環境アフォーダンス」
 お子さまの机の上を、一度よく観察してみてください。スマホ、マンガ、ゲーム機、お菓子。「触っちゃダメ」と何度言っても、目の届くところにあれば、子供の意識はそこに引き寄せられていきます。これは、お子さまの意志が弱いからではありません。

 ドアノブを見れば「回したい」と感じ、椅子を見れば「座りたい」と感じる。物にはそれを使わせる強い"誘い"のようなものが備わっています。これを心理学では「アフォーダンス」と呼びます。スマホは、中でも特別に強力なアフォーダンスを発する装置です。「私を見て!」「触って!」というシグナルを、24時間絶え間なく出し続けているのです。

 テキサス大学の研究チームが行った実験は、親御さんにこそ知っていただきたいものです。

 被験者を3つのグループに分け、それぞれ「机の上にスマホを伏せて置く」「ポケットに入れる」「別の部屋に置く」という条件でテストを受けてもらいました。3グループとも、テスト中にスマホに触れることは一切禁止。それでも結果は明確で、スマホが別室にあったグループの成績がもっとも高く、机の上にあったグループがもっとも低くなったのです。

 つまり、ただ近くにあるだけで、脳は「見たい衝動を抑える」というエネルギーを無意識に消費していたということ。これを認知科学では「ブレイン・ドレイン(脳の流出)」と呼びます。お子さまが「なんとなく集中できない」「やってもすぐ疲れる」と言うとき、原因のかなりの部分は、本人ではなく机の上の景色にあるのかもしれません。

 ご家庭ですぐにできることが、3つあります。

・勉強の前に、スマホは別の部屋へ。「触らない」では足りません。物理的に視界から消すのが最強の戦略です。
・マンガ・ゲーム機は布をかけるか、引き出しの中へ。目に入らなければ、脳のエネルギーは奪われません。
・参考書とノートは「開きっぱなし」で机に出しておく。勉強道具の側のアフォーダンスを使い、「やり始める」ハードルを下げてあげるのです。
 お子さまを「集中しなさい」と叱る前に、机の景色を一緒に整えてあげてください。それだけで、同じ1時間の勉強で得られるものが大きく変わります。

2.ノートを読み直すより、閉じて思い出す「リトリーバル」
 もう1つ、親御さんに見直していただきたい"頑張り方"があります。それは、ノートや教科書をきれいにまとめて、何度も読み返すというスタイルです。

 お子さまが机に向かってマーカーを引き5回、6回と読み直している姿は、いかにも勉強しているように見えます。けれども、世界中の認知科学研究が一致して指摘しているのは、「読み返し」は時間対効果がもっとも低い学習法の1つだという事実です。なぜでしょうか。脳が記憶を「自分のもの」として刻み込むのは、情報を入れている瞬間ではないからです。

 記憶が定着するのは、「えーっと、なんだっけ?」と苦労して頭から引っ張り出そうとしている、その瞬間です。これを心理学では「リトリーバル(思い出すこと)」と呼びます。脳の神経細胞同士をつなぐ「シナプス」は、思い出そうとした瞬間に一度ほどけ、「これは大切な情報だ」と判断されると、新しいタンパク質によって以前より強く結び直されます。読み返しているだけのとき、脳は「ああ、これ知ってる」とスルーしてしまい、この再固定化のチャンスを逃してしまうのです。

 ご家庭での声かけは、たったこれだけで構いません。「ノート閉じて、今日習ったこと、何があったか言ってみて」。

 「えーっと…」と詰まる時間こそが、脳の筋トレが効いている瞬間です。間違っても焦らせないでください。沈黙の10秒は、もっとも記憶が定着している10秒です。完璧でなくて良い、思い出せた分だけで十分。思い出せなかった箇所だけ、あとで重点的に復習すれば良いのです。

 お子さまが「テスト前にノートを何回も読み直しているのに、点が取れない」と悩んでいたら、それはお子さまが悪いのではなく、脳の仕組みに合わない方法を選ばされているだけ。「読む時間を半分にして、閉じて思い出す時間に充てる」だけで、定着率は劇的に変わります。

3.一夜漬けは効かないを、脳科学で説明できますか「スペーシング」
 3つめは、復習のタイミングの話です。テスト前日、お子さまが夜遅くまで詰め込み勉強をしている姿を見たことはないでしょうか。あるいは、ご自身もそうだったかもしれません。

 一夜漬けは、翌日のテストだけならなんとか乗り切れることもあります。けれども1週間後、1か月後にはきれいに消えてしまう。これは経験則ではなく、認知心理学が100年以上前から繰り返し確認してきた科学的事実です。

 脳の中で記憶が長期保存されるためには、神経細胞同士のつなぎ目(シナプス)が物理的に「太く」なる必要があります。これにはどうしても時間がかかります。短時間に詰め込めば、シナプスの受け入れ容量はあっという間にいっぱいになり、新しい情報が古い情報を上書きするだけで、深く刻まれることはありません。

 効果が高いのは、その逆。「時間を空けて、忘れかけた頃にもう一度思い出す」という戦略です。これを「スペーシング」と呼びます。

 脳は、忘れかけた情報をふたたび引っ張り出されると、「この情報は何度も必要なんだな」と判断し、保存の優先度をあげます。完全に忘れる直前、少しだけ苦労して「あ、思い出した」というギリギリのタイミングこそ、記憶のゴールデンタイムなのです。

 ご家庭で実践するなら、「1・3・7・30の法則」を目安にしてみてください。

・学んだ翌日(24時間以内)
・その3日後
・その1週間後
・その1か月後

 この4回、ノートを閉じて「何があったっけ?」と思い出すだけ。1回あたり数分で構いません。テスト直前に何時間も詰め込むより、こちらのほうが圧倒的に楽で、しかも記憶は長く残ります。

 お子さまが「忘れちゃうのは頭が悪いから」と落ち込んでいたら、ぜひこう伝えてあげてください。「忘れることは、脳がうまく働いている証拠だよ。次に思い出すときに、もっと強く覚えられるようになるんだから」忘れることは敗北ではなく、次の学習を強化する準備期間なのです。

親が変えるべきは「努力の量」ではなく「環境と仕組み」
 3つの方法に共通しているのは、お子さまの根性や才能ではなく、「やり方の設計」を見直しているだけという点です。

・環境アフォーダンス=机の景色を変える
・リトリーバル=読むのをやめて、閉じて思い出す
・スペーシング=詰め込みではなく、間隔を空ける
 どれも、お子さまを叱る必要はありません。むしろ親御さんが「こういう仕組みがあるよ」と紹介してあげるだけで、お子さまは"努力のしかた"を自分でアップデートしていきます。

 大切なのは、勉強を「根性」や「才能」の問題に帰さないこと。「合わない方法で頑張りすぎている」のだとしたら、やめてあげるのが親御さんの役目です。世界中の研究者がすでに、もっと楽で、もっと効く方法を見つけてくれています。それをお子さまの机の上にそっと置いてあげるだけで、頑張りはきちんと結果に変わっていきます。

 今回ご紹介した3つの方法を含む、脳科学・認知科学・心理学の最新エビデンスに基づいた50の学習戦略を、集中・記憶・メンタル・習慣・戦略の領域に分けて1冊にまとめたのが、新刊『世界の研究に基づいた勉強法大全』です。お子さまが読んで自分で取り入れることもできますし、親御さんが先に読んで、家庭で試せそうなものから声かけに織り込んでいただいても構いません。

 お子さまは、頑張っています。その頑張りが、きちんと未来につながるように。世界の研究が示してくれている"科学的な近道"を、ぜひ親子で味方につけてあげてください。


 脳科学・認知科学・教育心理学の最新研究に基づいた50の勉強法を、「集中」「記憶」「メンタル」「習慣」「戦略」の5領域に整理。受験生・学生だけでなく、社会人やお子さまを支える親御さんにも役立つ「学びの教科書」。

 『世界の研究に基づいた勉強法大全』星友啓著/2026年6月2日刊行予定

《編集部》

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