
「学級崩壊」。どこか他人事のように聞こえるかもしれません。
「教育虐待」。まさかうちの子どもの学校で、と信じがたく思うかもしれません。
NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』でも取り上げられ注目を集める、教育実践研究家・菊池省三先生をご存じですか?10年間にわたり全国の小学校で飛び込み授業をし、「教育虐待」とも言わざるをえない現状を目の当たりにし、警鐘を鳴らしています。
「現職の先生方は、外の世界に教室で起きていることをなかなか発信しない」。だからこそ、先生が見てきた現状を私たち親自身も知るべきです。
今回は、千葉県の中でも子育て世帯が急増中でその学校教育にも注目が集まる流山市内の小学校にて行われた、菊池先生の飛び込み授業にお邪魔し実施したインタビューの後編です。
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「特別支援学級」が4割越え。「手のかかる子」を送り込む排除の空気を感じる
-とある学校を訪ねたときに、特別支援学級の数に驚かれたとのことでしたね。
「九州にある小学校を訪ねた時のことです。通常学級が17クラスあります。それに対して支援学級が13クラスあるんですよ。僕の中ではある意味『最高値』の更新です。いつかこの数字が逆転する学校に出合うんじゃないかと、不安な気持ちもあります。
特別支援教育の目的や理念は本当に崇高なものだと思っています。教育の本質そのものだと言っていい。ただ、残念ながら現場で感じるのは、その理念ではなく「排除」の空気なんですよね。うまくいかない子、手のかかる子をそちらへどんどん送り込んでいく、その雰囲気が強い気がしてならない」
-他の学校でも似た経験をされたと伺いました。
「ある小学校で勉強会を行った時のことです。特別支援のクラスだと説明を受けた教室に、廊下の名札を見たら『学習ルーム2』と書いてあるんです。
聞けば、前年度まではその部屋が空き教室として『学習ルーム』に使われていて、今年度から特別支援教室になったけれど、名前をそのままにしてあるというんですね。『ひまわり』でも『すみれ』でも、何でもいいから子どもたちのための名前をつけてあげないのかと。『あなたの教室はどこ?』と聞かれて『学習ルーム2です』と答えさせるんですか、それは馬鹿にしてますよ。取って付けたような対応というか、まさに排除の縮図だと思いました。その場でもはっきり言いました、『これはいけない』と」
ー菊池先生が訪れた中には、年々特別支援学級が増えている学校もあり、その中では「負の連鎖が起こっている」と著書の中で指摘しています。一人ひとりの多様性を認めず「はみ出す子」を「排除」する空気があるということです。
「いまの日本の公立小学校での特別支援学級をめぐる構図には、強い言い方をするのであれば、負の連鎖のようなものがあると感じています。
まずは普通学級に一人ひとりの違いを認める観点が定着しておらず、教師にその教育の考え方や体験、訓練、知識、技能が十分ではない現状では、教室で『はみ出す子が出るような指導』が結果的に行われてしまいます。
教科での正解というものさしだけだと、子どもたちは、国語や算数の問題に答えられなかったら教室からはみ出ていきます。すると居場所がなくなっていき、教室で暴れたり、授業を妨害したり、他の子どもたちを傷けたりします。それらはやがて学級崩壊や保護者からのクレームへと転じていきます。そして教師も病欠に入るという負の連鎖です」
結果として、特別支援学級が急増しているという現実があると。そして特に増加度合いが高い沖縄県では「沖縄タイムス」で小学校で起きたこんなショッキングな問題を取り上げていたとのことです。
「沖縄本島中部の小学校のクラス担任を務める女性教員が、普通学級と一緒に授業を受けていた特別支援学級の児童が騒いだ際『うるさいと思う人、邪魔だと思う人は手を挙げてください』と普通学級の児童に挙手を求めていたことが7日、わかった。手を挙げない児童に『あなたも支援学級に行きなさい』とも発言」
菊池先生は著書の中でこう述べています。
「仮に子どもを安易に支援学級に転籍させるというのであれば、これもまた日本の子どもが壊れていっている実態です。私は近い将来、飛び込み授業で訪れる学校で『特別支援学級のほうが多い』という学校に出合うことになるのではないか。そんなことも予想しています」
教員不足も叫ばれる中、学級崩壊や増え続ける特別支援学級の問題について、解決の手立てはあるのか。それは菊地先生の授業の中に秘密があります。実際に生徒が変わっていく具体例からも希望の光が見えてきます。詳しくはぜひ書籍をチェックしてみてください。
◆ベストセラー1位を獲得。悩める親も先生も必読!不登校にいじめ、学級崩壊、先が見えない時代に「今すべき教育」とは?




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『足型をはめられた子どもたち』(1,210円(税込)講談社刊)

【大事に育ててきたわが子がなぜ? どうして子どもが小学校で壊れていくの? 子どもはどうすれば成長するの? その疑問への回答と解決策!】
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」、日本テレビ系列「世界一受けたい授業」などで、崩壊した教室を立て直す授業が紹介され大反響を呼んだ、菊池省三先生のコミュニケーション教育。子どもの生きる力を伸ばすメソッドへの支持は拡がり、講演や研修会は年間250回に及んでいます。
現役を引退し、教師の指導者として全国の小学校に招かれ、10年のあいだに行った飛び込み授業(示範授業)は3000時間超。各地の教室をもっともよく知る教育者です。
そこで出合ったのが「机の下の足型」に代表される子どもを「型にはめる教育」。
今子どもたちの現状は、不登校が44人に1人、暴力行為やいじめも過去最多。一方の教師も、精神疾患で休職する人数が過去最多を更新し、なり手不足が進んでいます。
子どもの98%が通う公立小学校で、学習意欲を上げさせたり、事態を改善させたりするために対症療法として行ってしまいがちな「型にはめる」教育が、悪いサイクルとなっています。
本書では、公立小学校の現状を知っていただき、その解決策として荒れた子どもたちを変えてきた菊池先生のコミュニケーション教育を紹介。たとえば学習意欲は、型にはめなくても、子どもの内面が成長すれば増すことがよくわかります。
保護者のみなさんにとっても、子育てについての認識が180度変わる「ほめ方」や「叱り方」「語彙の増やし方」「考える力のつけ方」など、子どもを社会に送り出すために、家庭でできる実践法をお伝えします。
第1章 足型をはめられた子どもたち――学校における教育虐待
第2章 なぜ、コミュニケーション教育で子どもは成長するのか
第3章 今風と昔風の学級崩壊――立て直し請負人による飛び込み授業
第4章 コミュニケーション科の学びとは? その効果とは?
第5章 堀之内くんと学級の2年間――集団の中で個を育てる
第6章 家庭でもできる菊池式実践法――子どもを「眺める」から始める
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菊池 省三先生プロフィール

1959年、愛媛県生まれ。山口大学教育学部卒業。2014年度まで北九州市立小学校の教諭を務めた後、教育実践研究家として活動を始める。全国の国公立小学校に招かれ、2026年時点で3000時間以上、飛び込み授業(示範授業)を行っている。教育実践研究サークル「菊池道場」主宰。8つの自治体の教育アドバイザーを務める。講演は年250回に上る。著書に、『新装版 授業がうまい教師のすごいコミュニケーション術』(学陽書房)、『学級崩壊立て直し請負人 大人と子どもで取り組む「言葉」教育革命』(新潮社)など、共著に『菊池先生の「ことばシャワー」の奇跡 生きる力がつく授業』(講談社)などがある。NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」や日本テレビ系列「世界一受けたい授業」、ドキュメンタリー映画「挑む」シリーズなど多数出演。



