徳川家康(松下洸平)の壮絶な過去が明らかに。「奪われないために、奪う側になりたい」――傷ついた心は鬼を生むか、優しさを育むのか【NHK大河『豊臣兄弟!』34話】 | NewsCafe

徳川家康(松下洸平)の壮絶な過去が明らかに。「奪われないために、奪う側になりたい」――傷ついた心は鬼を生むか、優しさを育むのか【NHK大河『豊臣兄弟!』34話】

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徳川家康(松下洸平)の壮絶な過去が明らかに。「奪われないために、奪う側になりたい」――傷ついた心は鬼を生むか、優しさを育むのか【NHK大河『豊臣兄弟!』34話】
徳川家康(松下洸平)の壮絶な過去が明らかに。「奪われないために、奪う側になりたい」――傷ついた心は鬼を生むか、優しさを育むのか【NHK大河『豊臣兄弟!』34話】 全 1 枚 拡大写真
  

*TOP画像/家康(松下洸平) 数正(迫田孝也) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

戦国時代のど真ん中を舞台にした『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の主人公は仲野太賀が演じる豊臣秀長。兄弟の絆で“天下統一”という偉業を成し遂げた豊臣兄弟の奇跡を描いた大河ドラマ『豊臣兄弟!』(NHK総合ほか)の第34話が9月6日に放送されました。40代50代働く女性の目線で毎話、作品の内容や時代背景を深掘り解説していきます。

小一郎と秀吉の前に立ちはだかる新たな壁

第33話「北庄(きたのしょう)城の別れ」で、秀吉(池松壮亮)が天下人になると家族や家臣の前で宣言すると、小一郎(仲野太賀)は「これより 我らが進む道は 遠く 険しく 楽しき道じゃ」と揚々と述べていました。秀吉は織田家の当主・織田信雄(山脇辰哉)の補佐役であることを前提に、政治運営を行い権威をさらに高めました。その象徴として築いたのが、大坂城。

そんな二人にとって最強のライバルとなるのが、徳川家康(松下洸平)です。三人は織田家の家臣として、長きにわたり協力関係にあるものの、家康はこの兄弟を軽んじているように見える場面が少なくありませんでした。例えば、秀吉が“藤吉郎”と名乗っていた頃、出世のコツを聞かれ、「信長殿を信じることじゃ」「大事なのはここじゃ」と胸を叩いて答えた後で、石川数正(迫田孝也)と「すべて逆のことを言うてやったわ」と笑ったこともありました(第5話)。これまで家康が秀吉をどう思っているのか、今ひとつ判然としませんでしたが、本回ではその思いがはっきりと示されました。家康にとって秀吉は、明らかに忌み嫌う存在だったのです。

一方、秀吉は家康を心から尊敬していた時期もあったものの、今の秀吉や一部の家臣らは家康を信頼に足る仲間とはみなしていません。黒田官兵衛(倉悠貴)は鋭い洞察力の持ち主らしく、「今頃 徳川殿は こう思うておるやもしれませぬ。なぜ わしが あのような 成り上がりに 命じられねばならないのだと」と、家康の胸中を小一郎や蜂須賀正勝(高橋努)らの前で言い当てていました。

加えて、家康も数正も察していた通り、秀吉が数正に大坂城を詳しく案内したのは、自らの権力と武力を家康に誇示し、屈服させるためでした。

秀吉(池松壮亮)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

秀吉も家康も、そして彼らの家臣も、相手サイドの本意を察しつつも、両者の関係が悪化しないよう、慎重に行動していたのです。

家康と数正の絆。家康が抱える苦しみに涙

家康は一歩引いた場所から世の中を見ており、人をどこか小ばかにした、胡散臭そうな男というイメージがありました。しかし本回では、今川家での人質時代に味わった苦しみや悲しみがていねいに描かれており、この男に感情移入しました。

幼い頃から蔑まれ、踏みにじられ、大切なものを奪われてきた家康と、彼に寄り添ってきた数正。そんな二人の志は“奪う側”になることでした。幼少期、家康は武道の稽古と称し、今川氏真(三河悠冴)を中心に自分より年長の者たちに木刀で痛めつけられたことがありました。

数正幼少期(味元耀大) 家康幼少期・竹千代(谷利春瑠)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

今川義元(大鶴義丹)も家康の心を深く傷つけました。

孤独を抱えながらつらい日々を送る幼き家康に、善元は「つらい時に めでれば癒される。さみしい時には 話し相手にもなってくれよう」と、鳥を贈りました。千代丸と名付けた鳥は家康の生きる支えとなりました。

義元(大鶴義丹) 家康幼少期・竹千代(谷利春瑠) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

元服の日、「今では 鳴き声で 何を言っているのか 分かる気がいたしまする」と話す家康に、義元は「殺せ。今すぐ殺してみせよ」と命じました。義元は家康にどんな命令にも逆らう権利はないことを、鳥の命を犠牲にしてまで教え込もうと企てていたのです。

義元(大鶴義丹) 家康(松下洸平) 数正(迫田孝也) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

家康は千代丸を殺せず、そっと逃がすと、待ち構えていた氏真が千代丸を撃ち殺しました。鉄砲音を聞き、地面に横たわる千代丸の姿を見た家康は目に涙があふれ、悲しみにつつまれました。とはいえ、当時の家康には義元にも氏真にも、千代丸の仇を討つ力はありません。

数正は「奪われたくなければ 奪う側になるしかありませぬ」「従うのが嫌なら 従わねばなりませぬ」と、家康の手を握りながら、力強く教え説きました。

家康(松下洸平) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

数正(迫田孝也) 家康(松下洸平) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

悲しいことや悔しいことがあっても、自ら指を噛んで耐え忍ぶしかなかった家康。周囲の顔色ばかり窺う日々の中で、顔を見ただけで相手の考えが大体分かるようになるほど気遣っていた過去……。しかし今の家康は、数正と共に地位を上げ、“奪う側”となり、秀吉にも対抗できる力を持っています。

乱世で大切なものを奪われたのは、家康だけでなく小一郎と秀吉も同じです。小一郎と秀吉は“百姓も侍も共に笑って生きられる世をつくり、皆を喜ばせたい”と願う一方、家康は“大切なものをこれ以上奪われぬために、自ら権力を握りたい”と願います。過去のつらい経験や悲しい経験は、その思いから周囲への優しさとなることもあれば、己を守るために他者への恐怖となることもあります。

長丸には自分のような辛い思いをさせたくない

家康は数正経由で秀吉の茶会の誘いを受けるも、「茶の湯は好かぬ。知っておろう」と応じ、茶会に後ろ向きでした。けれども最終的に、家康は秀吉の茶会へと足を運ぶことになります。この茶会の席が彼を苦しめる無慈悲な命令のきっかけとなるとは、参加を決めた際は知る由もなかったはずです。

秀吉から羽柴と徳川の架け橋として、長丸(日影琉叶)を養子に出すように命じられた家康は沈黙のあと、迷いを滲ませながらも静かに頷きました。

長丸(日影琉叶) 家康(松下洸平) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

しかし長丸を前にすると、考えは変わりました。長丸は家康に毒草を差し出し、「これで 父上を泣かせた敵を殺してくだされ」と、幼いながらに父を守ろうとします。家康は息子のそんな姿に心を打たれ、「もう 誰にも従わぬ」と固く決意し、秀吉と戦う道に進みました。

松下洸平に宿る凄絶な表現力  

松下洸平の本回での心のこもった演技に深く感動した視聴者は多いのではないでしょうか。家康の幼少期から青年期にかけての脆弱性や、地位を得た今も囚われ続けている過去の苦しみを細やかに表現していました。

特に迫力があった場面は、家康が「逆臣 羽柴秀吉を討伐する。今こそ その時じゃ!」と宣言する場面。 この一声には、長年胸の奥に沈めてきた苦しみと、抑えきれぬ怒りが、一気に溢れ出しているかのようでした。圧倒されるほどの迫力に、思わず息を呑みました。

家康(松下洸平)ほか 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

松下は俳優として真に開花するまで長い歳月を要しました。静かに時を待ち続けた家康はまさにハマリ役。それでも、穏やかで優しげな佇まいを纏う松下が、演者として人間の負の感情をこれほど滲み出し、見る者の心胆を寒からしめるような表情を見せたことにおどろきました。

家康(松下洸平) 大河ドラマ『豊臣兄弟!』34話(9月6日放送)より(C)NHK

小栗旬や山口馬木也の退場により作品にぽっかりと大きな穴が空いたかのようでしたが、これより先は家康が物語の鍵を握る中心的な存在となるだけに、今後の展開に一層の期待がふくらみます。

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《OTONA SALONE》

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