
「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシン。ストレスの軽減や睡眠の質の向上、美容やダイエットへの効果など、さまざまな働きがあることで注目されています。
では、オキシトシンはどうすれば増やせるのでしょうか。実は、子ども時代のスキンシップが将来のオキシトシン分泌に影響する可能性もあると産婦人科医の山村菜実氏は指摘します。
本記事では山村氏の著書から、オキシトシンを増やすための日常生活でのコツや、スキンシップの大切さについて紹介します。
※本記事は書籍『子宮を愛してあげよう 大人女子の悩みを解決するオキシトシンと子宮ケア』(山村菜実:著/現代書林)から一部抜粋・編集したものです。
オキシトシンで毎日を整えよう
オキシトシンはちょっとしたコツで増やせる
ストレス緩和、ダイエット、アンチエイジング…大人女子にとってメリットがたくさんの幸せホルモン「オキシトシン」。では、どうやってオキシトシンを増やせばいいのでしょうか。
この記事ではオキシトシンを増やす方法をご紹介していきましょう。
オキシトシンはお母さんが赤ちゃんを産み、育てるときに分泌されるホルモンですから、「スキンシップをとるとき」「愛情を感じたとき」「人と親しく関わり合う・人と信頼関係を結ぶとき」などに分泌されます。
ですから、何も特別なことをする必要はなく、日常生活の中でのちょっとしたコツで、増やすことができるのです。ぜひ、オキシトシンを増やす生活を心がけてみてくださいね。
オキシトシンを増やす生活
「スキンシップ」
オキシトシンを増やすために、もっとも効果的な方法がスキンシップです。スキンシップによるオキシトシンの増加については、たくさんの研究結果があります。
私たちは、体のどこかが痛いときなど、手を当てて、なでたりさすったりしますよね。あるいは不安を感じたとき、自然に腕を交差して、自分を抱きしめるようなポーズをとることがあります。
これらは、実は手を当てることによって、オキシトシンが分泌されるからにほかなりません。
転んで泣いている子どもに、お母さんが「痛いの、痛いの、飛んでけ〜」と言って、さすってあげますよね。
実はあれもオキシトシン効果。「痛いの、痛いの、飛んでけ〜」には、ちゃんと科学的な裏づけがあったのですね。
スキンシップは、パートナーや子どもなどとの触れ合いだけではありません。自分でできるマッサージなども、大切なスキンシップの一種です。
フランス生まれの「ユマニチュード」
「ユマニチュード」って、ご存じですか。これは認知症の新しいケア方法として、今大きく注目されている方法です。
ユマニチュードはフランス発祥のケア技法。フランス語で「人間らしさを取り戻す」という意味だそうです。
ユマニチュードによって、寝たきりの人が歩けるようになった、攻撃的だった人が穏やかにコミュニケーションをとれるようになったなどの改善例がたくさん出ているといいます。
具体的には「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの方法で働きかけることによって「あなたを大切に思っていますよ」という気持ちを伝えるのだそうです。
この中の「触れる」については、手のひら全体など広い面積で触れる、手はゆっくりと動かす、背中や肩などから触れ、手や顔などにいきなり触れない、力を入れてつかまないなどの技法があるそうです。
やはり「やさしく触れる」ことで、人は大きな癒し効果を得られるのですね。
スキンシップは子どもの発育にも効果的
抱っこしたり、手をつないだり、おひざの上に乗せたりなど、お子さんとのスキンシップは特に意識しなくても、どなたも日常的にされていると思います。
スキンシップでオキシトシンが分泌されることで、子どもは情緒が安定し、他人を信頼できて、良好な人間関係を結ぶことができます。
逆に、オキシトシンが不十分だと、情緒が不安定になってキレやすく、人間関係にも影響が出てしまうといわれています。
子ども時代に十分にスキンシップをとってオキシトシンを正常に分泌させることは、とても大事なことです。
なぜなら、オキシトシンは子どもの頃にしっかり分泌しないと、大人になっても分泌しにくくなってしまうという特性があるからです。
普段、何気なく行っている子どもとのスキンシップですが、とても深い意味があったのですね。
パートナーとのスキンシップ
パートナーとキスをしたり、触れ合ったりすることも、オキシトシンを増やすためにはとても大事なことです。特に性交渉(セックス)はオキシトシンを分泌させる強力な作用をもたらしてくれます。
性交渉中のオキシトシンの分泌を調べた研究では「性交渉がはじまるとともに、男女ともにオキシトシンレベルは上昇し、オーガズムを迎えると最大値に達する」という結果が出ているそうです。
ですから、定期的な性交渉はオキシトシン分泌のためにもとても大事なことです。
このような話をすると「夫とは長年セックスレスで……」「うちはキスはおろか、手もつなぎません」という人も少なくありません。
確かに子どもができると、夫婦関係も男女というより「同志」のような感じになって、セックスレスになるカップルが多いもの。
しかも一度セックスレスになってしまうと、なかなか「元」に戻るのは難しいですよね。
無理をする必要はないので、たとえばハグをする、手をつなぐなど、少しずつスキンシップを増やしていってはどうでしょうか。
「今さらハグなんて恥ずかしい」という方は「ハイタッチ」はいかがでしょう。
「いってらっしゃい」「おかえりなさい」のタイミングや、何かいいことがあったときのハイタッチなら、自然にできますよね。
そうやって少しずつ相手と触れ合う機会を増やすことで、夫婦関係がもっといい方向に変わっていくかもしれません。
友達や家族とも、恥ずかしがらずにもっと触れ合おう
欧米では、みなさんよくハグをしていますよね。家族はもちろん、友達とひさしぶりに会ったときや別れ際など、気軽にハグをしています。
オキシトシンの観点から考えても、とてもいい習慣だと思います。
海外の習慣がなんでもいいわけではないけれど、日本人も、恥ずかしがらずにもっとスキンシップをとっていいのではないでしょうか。
パートナーだけでなく、親に対してもそうですよね。大人になると介護が必要にでもならない限り、親とスキンシップをとることもなくなってしまいます。
日頃から肩をもむ、足もとが危ないときに腕をとって支えるなど、積極的に触れ合う工夫をしてみるといいと思います。
ここまでの記事では、「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンを増やす方法についてご紹介しました。つづく関連記事では、オキシトシンが心と体にもたらす「ハッピー効果」をお伝えします。
つづき>>脂肪燃焼を促し、肌が若々しくなる「アンチエイジングホルモン」って?痛みの軽減や認知症予防まで!知っておきたい「9つの効果」【産婦人科医が解説】
■著者略歴: 山村菜実(やまむら・なみ)
医療法人財団小畑会浜田病院理事長。東京都生まれ。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、東京慈恵会医科大学附属病院勤務。産婦人科専門医を取得後、2019年に東京美容クリニックを開設し、婦人科領域の美容医療にも携わる。2023年日本最古の産婦人科病院、浜田病院理事長就任。女性の悩みすべてに寄り添う丁寧なカウンセリングにファンも多い。プライベートでは3児の母。
《所属学会・認定資格等》
日本産科婦人科学会専門医、日本医師会認定産業医、日本抗加齢医学会専門医、日本周産期・新生児医学会正会員、日本美容皮膚科学会正会員、日本女性医学学会正会員、日本東洋医学会正会員、日本人類遺伝学会正会員、日本毛髪科学協会認定毛髪診断士



