不登校の子どもがいる親ができるといいこと「一緒に時を過ごせる娯楽を持つ」「なんでもない雑談をする」この2点の重要さ | NewsCafe

不登校の子どもがいる親ができるといいこと「一緒に時を過ごせる娯楽を持つ」「なんでもない雑談をする」この2点の重要さ

女性 OTONA_SALONE/LIFESTYLE
不登校の子どもがいる親ができるといいこと「一緒に時を過ごせる娯楽を持つ」「なんでもない雑談をする」この2点の重要さ
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オトナサローネでエッセイ『シングルファーザー小説家の子育てと社会日記』を連載中の作家・仙田学さんと、オトナサローネ編集部井一が、9月18日にインスタライブで「不登校ラジオ#4」を配信しました。(オトナサローネのインスタアカウントでアーカイブが視聴できます!)

現在は京都芸術大学で小説の創作を指導する教員でもある仙田さんは、現在中学2年生のお嬢さんが不登校状態、仙田さんご自身も15歳から18歳まで学校にまったく通わなかった「不登校経験者」です。

仙田さんの連載が配信されるたびにその裏話を聞くインタビューラジオ、毎回「思いもよらぬ」脱線が起きるのですが、今回もまた予期せぬ結論が待っていました。ダイジェストでお読みください!

前編『医師・教師は「子どもの可能性を広げてあげて」と言うけれど、漠然としすぎている。実際「何をすれば」広がる?【不登校ラジオ#4】】

【不登校ラジオ・ダイジェスト】#4後編

「猫を呼ぶように」接する。子どもを外へ連れ出すタイミングと「構い方」

井一: フリースクールに行き始めたけれど、ちょっとした違和感が育ったというのが記事の後半にありましたよね。頑張って通っていたという感じだったんでしょうか。

仙田: フリースクールに行くにしても、タイミングがあると思うんですよね。その子が家の外につながれる場所を作りたいとか、落ち着ける場所を持ちたいとか思ったときがタイミングだと思うんですけど、そのタイミングを推し量るのがすごく難しかったなと。僕が無理やり行きなさいよと言って行かせるところでもないし、かといって、本人はフリースクールという選択肢自体を知らない。大人が俯瞰して見れるからこういう選択肢がある、と分かるんですけれど、本人は学校しか知らないから、外側に選択肢があってその先にどういうものが広がっているかはまったく分からない。だから急に本人が「フリースクール行きたい」と言い出すわけがないんです。

井一: では、どうやって?

仙田: ちょっとずつ情報を与えて、こういう選択肢があるよという地図を見せて、こんな道があるよと見せて、本人が「あ、それだったらちょっと行ってみたいな」と言い出すのを待つ。で、言い出したときにちょっと手を引っ張ってやる。ぐいっとは引っ張らずに、ちょうどいい具合で引っ張るみたいな。ものすごく気を使いながら連れ出した感じでしたね。

井一: 猫を呼ぶみたいな感じですかね。

仙田: そうそう、おいでおいでみたいな。

井一:うちの娘はもう外へ出たくないし人と接触したくないみたいな感じになってしまっていて。ちょっと駅前のスーパーに行こうよと言っても、何かを一緒にしようよと言っても大体断られる。この「外に出たくない」という意思表示も、さっき仙田さんがおっしゃった通り、良いことと捉えることもできるかもですが。

仙田: はっきり言えるということはお母さんに心を開いているということだと思います。それに、暇と言い出してからが働きかけどきだとも聞きますね。精神科の先生も「暇と言い出してからが大事」とおっしゃることがあるそうですし。

井一: 私の子どもへの声かけが上手くないのもあって、どういう言葉を使えば気持ちが合うのかが分からない部分がすごくあって。例えば仙田さんは、お嬢さんが朝なかなか起きないとき、どんな声かけをされているんですか?

仙田: トントンって肩を叩いて、「そろそろ起きたら、今何時やで」って言って。本人が起きようと思ったら起きてくるし、「まあいいか」と思ったら起きない。それを適当に2、3時間おきにやって、起きてこなかったら「まあしょうがないかな」という感じです。ただ、寝る時間だけはずっとずらさないようにしていました。

井一: 何時に寝るんですか?

仙田: 夜10時半ぐらいには寝る部屋に行って、布団の中に入って。3人で川の字になって寝るんですけど、電気を消してからもおしゃべりするんですよね、ぺちゃくちゃと。1時間ぐらいしゃべります。結果的に11時半とか12時になることもあるんですけれど、まあ一応暗くなって。ずっと深夜まで起きているのはもう絶対やめようと思って、寝る時間は一緒に。夕方4時に起きてきたとしても、10時半ぐらいには寝る部屋に行っています。

井一: その3人でぺちゃくちゃしゃべるのは、ちっちゃい頃からずっと続けている習慣なんですか?

仙田: そうですね。ほんとにちっちゃいときは、寝る前に絵本の読み聞かせをしていたんですよ。絵本を読んでいるうちに子どもが寝落ちするみたいな。だんだん絵本に飽きてきたので、最初は作り話をして。

井一: え、作り話! それはどんな話ですか?

仙田: 近所の子どもがよく遊びに来ていたので、その子たちをキャラクターにして、「誰々ちゃんが何々しました」みたいな話を適当に作って。知っている子だから、まあ喜ぶんですよね。毎日即興で違う話を作っていて、ある話を子どもがものすごく気に入ったので何回も何回も同じ話をしていた。それを元に、今児童書を書いていて、1冊目にあった「トイレのようこさん」という話は、そうやって子どもに話していたものだったんです。

井一: さすが小説家……そんな作り方があるんですね。

仙田: 「ちびくろさんぼ」も、作者の女性の方が家族で船旅をしていて、その船旅の間、子どもが退屈するだろうからと絵本を書いたらしいんですよ。世界に1冊の子どものための本が、世界中に読まれるようになったという。

井一: 私たちが記事を書くときも、誰か特定の一人を思い浮かべて彼女に読んでもらいたいと集中したメッセージは、彼女ではない全員にも同時に届くとよく言われるのですが、まさにその原点ですね。お子さんと一緒に過ごす中で、その習慣ができ上がっていった。

いっしょにアニメを見ることで「価値観を伝える」教育をしていた

井一: 電気を消してからおしゃべりする以外にも、一緒に過ごす時間はあるんですか?

仙田: 1日30分から1時間ぐらい、3人でアニメやドラマを見るんですよね。それがもうずっと10年近く続いているので、いろんな蓄積があります。そういうアニメの話をしたりとか、あと長女がよくしゃべるんですよね、最近考えていることなどを。それを聞いて話したりとか、好きな歌を一緒に歌ったりもしていますね。

井一: 歌! どんな歌ですか?

仙田: ミセスとか宇多田ヒカルとかいろいろ。今の子どもってTikTokで流れてくるから、もう歴史が関係ないんですよね。昔のきゃりーぱみゅぱみゅの曲が流れてきたとか言って。僕は自分が聴いている音楽を子どもに聴かせるということはなんかしてこなかったんですよね。子どもが聴いている曲でたまたま僕が知っている曲があれば「あ、それ知ってるよ」となるし、子どもが「この曲聴いてって」と言って持ってくることもよくある。そこから覚えたりして。

井一: なるほど。アニメや作品を一緒に見るというのも、意識的にそうしているんですか? バラエティーではなくアニメや作品というのには、何か意図がありますか?

仙田: そうですね。フィクションのいい作品を見る目を持ってほしいという気持ちがありました。手塚治虫の息子さんの映像作家・手塚眞さんが、子どもの頃にお父さんに連れられて「2001年宇宙の旅」を見に行ったと書いていて。子どもだったからまったく分からなかったんけれど、なんかすごいものを見たというのが残っているというんですよ。手塚治虫は自分の子どもに、理解できるかどうかは置いといて本物に触れさせることを大事にしていたと。なんかそれを真似したいなと思って。最初は自分がいいと思う作品を見ていました。京アニが好きなので、京アニの作品を見せたりとかしていて、そのうちそのときやっているアニメを見たりして、「ここが面白いよね」「ここはいまいちだね」ということをよく話し合うようになりました。なんか価値観を身に付けてほしいなというのもありましたね。

井一: なるほど、キャラの何が好き、みたいな印象の感想だけではなく、面白さの分解、つまり批評的構造的に作品を見るという視点の伝授を、一緒に楽しむ形でやっているということですね! それは英才教育ですよね、ある意味。

仙田: 同時に、子どもから教えられることもものすごく多くて。例えば小学校低学年、1年生のときに、「このキャラクターの目の色と、こっちのキャラクターの目の色が一緒なのにはこういう意味があって」と言ってきたんですよ。僕はまったく気づいていなかったところで。あ、でもそう言われてみると、そこには確かに意味がありそうだな、みたいな。

井一: 逆に子どもから新しい視点を教わるということもあった、なるほど。

仙田: そうですね。あと、本を読んでほしいなと思ったんですけれど、本を読めって言ったら読まないと思うんです。今の時代の子たちは映像に触れる機会が多いので、まず映像からそういう文脈を読み取るということを知ってもらって、もしかしたら今後本に興味を持つかもしれないという順番で考えました。僕自身が子どもの頃は娯楽が本しかなかったので、小学校のときから本ばかり読んでいたんですよね。それはすごく良かったなと思って。本をたくさん読むと、いろんなことを考えるし、物事をいろんな視点から見ることができるようになったりする。まあ子どもに本を読んでほしいなと思ったんですけれど、実際自分の本棚から勝手に引っ張り出して読んだりもしていますよ。

井一: ここまでで1番盛り上がったのはどんな作品でしたか?

仙田: 「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」は、子どもが保育園児ぐらいのときに1回見て、最近になってまた見たいと言い出したので、もう1回見たんですけれど。あれはいいですね。最近は「ちいかわ」を映画で見て、アニメ版も見ています。

井一: 「ちいかわ」! 一緒に見るとき、いろいろ語る余地がありますよね。

「自分がされたかったことをしているのかもしれない」。仙田さん自身は子ども時代どうだった?

井一: 仙田さんのお話を伺っていると、毎回、子どもをほんとうに大事になさっているんだなということがしみじみ伝わってくるんですが、そういうふうに育ったんでしょうか?

仙田: いやー、なんか、母親からは割と愛されて育ったなという感覚はあるんですけれど、父親からあまり愛されなかったなという感覚があって。でも母親から愛された感覚があるならそれでいいじゃないかと思うんですけれど、なぜかすごくさみしかったんですよ。父親からの愛情がほしかったというのがずっとあったんです。自分が親になると分かったときに、男の子だったらどう接したらいいか分からなくなっちゃうかもと思って、出産前は性別を聞かなかったんですよね。生まれてきて男の子だったら、まあ諦めるしかないかなと思っていたら女の子だったので、ちょっとほっとしたということはあります。

井一: 自分がしてほしかったことをしているという面がある。

仙田: そうですね。なぜ自分がその父親にそんなに執着しているのかよく分からないんですけれど。我々の時代って、お父さんは働きに行っていて、家にいないのが普通みたいだったじゃないですか。だから別に普通の親だったと思うんですよね。でもそれにさみしさを感じていた。なんなんだろうよく分からないですよね。

井一: 自分のことを一番分かるのも自分なんだろうけれど、一番分からないのも自分だな、という典型的なエピソードですよね。それが、一緒に何かを見るという習慣につながっていった。

仙田: なんか、子どもから教えられることがすごく多いんですよね。自分だったらミセスとかは絶対聴かないと思うんですけれど、子どもから「いいよ」って聴かされるうちに、「あ、この曲いいな」となって、自分の世界が広がっていくのが楽しいという感覚があります。子どもの好きなものを取り込んでいくのが楽しいんですよね。

ただ、あからさまに「何の曲聴いてんの」とか「何の動画見てんの」と聞くのも違う気がするので、なんか向こうがしゃべっているその単語を拾って、「え、何それ」みたいなふうにして、じわじわ入っていくというか。向こうから言ってきたら教えてもらって知っていくみたいな。これもまた結構気を使っているんですけれどね。猫と接するみたいに。向こうが寄ってきて教えてくれたら、一緒に楽しむみたいな感じで。

井一: そうか。今日のお話を振り返って、子どもを尊重するということってどういうことかと言ったら、猫のように接するということが結構キーワードかなと思いました。スパーンと行くんじゃなくて、じわじわじわじわっとちっちって手を出しながら寄ってくみたいな。

仙田: そうですね。

「一緒に時を過ごせる娯楽を持つ」「なんでもない雑談をする」この2点の重要さ

井一: 今日の私の学びとしては、やっぱりその雑談をする時間をいっぱい設けていて、何のためにという強い目的があったというよりは、お互いの心を直接打ち明け合うというのじゃなくて、関係のない日常の話がいっぱい周辺にある状態というのを常に作っているということ。これはすごく正解というか、ちょっと嫌な言い方をすると「予後がいいおうち」というのはそういうふうな準備があるんだなというのを感じました。

私が今日の反省として思ったのは、子どもに対して実務的な話ばかりしてしまっているということ。もう少し雑談を自然にできる雰囲気を努力して作り出したほうがいいんだなということ。寝る前の川の字の会話というのを最初からセットしたわけでは決してないとは思うんですけれど、それって多分ものすごく重要な2つのセットだと感じました。一緒に作品を楽しむ、しかもその作品を批評的に見るという視点の伝授をやっている。そして、直接的な気持ちを聞くんじゃなくて、間接的にふわーっとさまざまなことを情報交換していく場を夜に作っている。この二段構えというのは、不登校の子どもを守っていく支援構造の中で結構大切なことだなと感じました。

仙田: コメントで「親子で共通の趣味いいですね」とたくさん頂いていますね。そうですね、今の10代の子たちが接しているものを知れるのって、なかなか親にでもならない限りないですよね。それは楽しみたいなと思っています。

井一: なるほど、ありがとうございました! 今日もまた、あの、当初こういう話をしようかなと思っていたのに全然違う方向へ行って、ほんとにおもしろかったです。ではまた来月!

つづき>>>『医師・教師は「子どもの可能性を広げてあげて」と言うけれど、漠然としすぎている。実際「何をすれば」広がる?【不登校ラジオ#4】】

【編集部より】仙田さんの連載は毎月15日頃に配信されています。この不登校ラジオは、その次の月曜の19時から、配信された話の裏話や深掘りをお届けします。10月19日(月)19時~オトナサローネのインスタアカウントを検索してください! @otona_salone


《OTONA SALONE》

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