「出来る・出来ない」の差は「動機」
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しかし背後には世界の成長エンジン中国経済の息切れ・更なるヨーロッパの危機懸念・原油の値上がり…と言う不安材料があり、大震災からの復興特需があるはずの日本でも、政治の停滞・電力不足の危惧」が経済の足を引っ張っている。
新年度を迎えた多くの日本企業は次の一手で逡巡している様だ。そして企業内は、成果主義の強調傾向が見える。
会社員には、必ずとなりに「仕事が出来る・仕事が速い」と喧伝されるライバルがいて、その様な同輩と比較されて迷惑を被っている人も多いはずである。大方の被害者は「生まれつきの差だから・努力が足りないから」と思っている。
社員の能力開発を専門にしている畏友は次のように話す。
仕事の進め方が的確で早いのは「基本的な能力」が違うからと思われがち。しかし脳科学の視点からすれば、いわゆる「頭がいい・天才的」ということとは関係がない。もっとも重要なことは「動機」だというのだ。
人間は水が飲みたいというとき「考えてから水を飲む」ということはない。喉が渇いたから無意識のうちにお茶を飲んだり、ペットボトルを自動販売機で購入したりしている。かたや「勉強をしないといけない」と分かっていても「仕事をやらないといけない」と思っても進まないことがある。この違いは「動機」なのである。
水を飲むというのは、本能的な問題であって「脳の中に組み込まれたもっとも強い動機」である。しかし悲いかな「仕事や勉強にはそこまで強い動機がない」のが現実だ。
「どうして勉強しなければいけないのだろう」と思っている限り、なかなか行動は起こせないのである。
Facebookの創始者は「女の子にもてたい」という動機がきっかけだし、ジョブスは「個人が使うコンピューターは必ず売れるようになる」と信じて、友人とアップルというPCを作り出した。いずれも「動機が大きな原動力」となっている。
極論すると、動機が人の行動を変え、それによって成功にたどりつけるのだ。多くの人は行動の前に各種の制約を考えてしまい行動に移れない。
人間の脳は「なぜそうするか」がはっきりしていないと、その方向へ働かない。「なぜ仕事をするのか」がはっきりしていると、脳の中で意欲が湧いてくるのである。その理由は金、出世、名誉…なんでも良い。動機付けができれば、脳はそれを達成するために、神経回路を変化させ効率よく仕事ができるようになる。
仕事をやり遂げることが快感になってくると、早く仕事を終わらせることに意味が出てくるのである。大きな仕事ができる人、早く仕事が終わる人は、自分がもっとも面白いと思える動機を探せた人なのである。
競争社会で評価を得る為には、もう一度「自分が何をやりたいのか・なぜやりたいのか」を確認してみることだ。それが見出せないなら転職もアリかもしれない。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》