「町の本屋さん」がつぶれる時代
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ほんの5年程前までは、新聞社のネット対応はアクセサリー分野・経営的には持ち出しが普通だったが、海外の有名新聞や国内先行組がそれなりの成果を出したのを見て、後出しの得意な読売新聞も追従・毎日新聞も近々…である。
若者の新聞離れ・新聞を取らない世帯の増加などでの大幅な部数減を、ネット・特にスマホ&タブレットに縋って取り戻そうという戦略だ。
出版社のネット対応も似たようなもので背後には若者の本離れがある。
いわゆるガラケー時代はアダルトとコミックがネット対応の中心で、自らが作品を持たないコンテンッ業者が携帯電話上に書店を開いていた。
最近では出版社自らが書店を開き、楽天やキャリアーも自ら書店開設に乗り出している。
操作性のよいスマホ&タブレットを睨んでの戦略で、業界は乱戦模様である。
いずれは、新聞や本はタブレットで読む時代が来るのだろう。
すでに韓国では、来年から教科書はタブレットらしい。
そんな中で「町の本屋さんの危機」が迫っている。
書店調査会社のデーターによると、全国の書店数は約15、700店。この1年で365店減っているらしい。
1日に1店が閉店していることになる。
地域的には、大阪が56店減・東京が48店減・愛知が32店減・兵庫が20店減…47都道府県中42が減・なぜか長野、栃木が増だという。
すでに5年程前から全国の書店のトレンドは「品揃えの多い大型書店でないと生き残れない」ということであり、統計では、全国の書店の延べ面積は増えるが、店数は減少傾向であった。
明らかにショッピングセンター内やロードサイドの大型書店が増え、地域の人とつながっていた「駅前のおなじみの本屋さん」が減っていたのである。
ネット社会の広がりもあるが、長引く不況で本を買うマインドが下がっているのではないだろうか。
また新業態の古本屋などの新しい形態の本屋の台頭もあると思う。不況の中で大手書店ですら経営は苦しく、ここ1年でも大手が印刷会社に救済された…などが続出している。
個人商店での本屋経営はむずかしくなっているのだ。
いずれは「本は正価販売」と言う再販制度のタガもはずれ「新しい販売戦争」も始まるだろう。
町の本屋さんは「身近な知の宝庫」だ。また格好の待ち合わせや時間潰しの場であった。これがなくなる事は町に潤いが無くなり、国民が馬鹿になることであると思うのである。
確かに同じ小説をタブレットで読むのと本で読むのは感動が違う…そんな風に捉える私はやはり古い考えの人間なのだろうか。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》