「日韓のもつれ」をほぐせるか
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コラムの表題は「失電時代を生きる」であったと記憶している。それから2回目の正月がまもなく。
・世界一のTV塔スカイツリーの完成
・ロンドン五輪でのメダルラッシュ
・iPS細胞の開発での中山教授のノーベル賞受賞
・消費税の増税決定
・民主党の総選挙での大敗と自民党の政権復帰
今年を振り返ると、いろいろあったものである。「めでたくもあり・めでたくもなし」と言うところか。
今年の大きな特徴は、日本を取り巻く諸外国のリーダーが一斉に変わるという選挙年であったことだ。ロシア・アメリカ・中国・日本・そして最後が韓国である。
1年交代で首相が変わり、首脳会議では「あいつは誰だ」と揶揄されていた日本の首相も「2度目のお勤めで経験のある安部総理」と言うことで期待が持てる。
隣国の韓国ではパク・クネ氏が「韓国初の親子2代&初の女性大統領」に当選した。投票率は76%弱で、大統領の直接選挙制度が施行された1987年以来最高の投票率となった。
国民の、"現状を変えたい"という願望が強かったと読める。
韓国の選挙制度は日本より進んでいる。投票率を上げるために、投票日は平日、また臨時の国民の休日にしている。また今回の大統領選挙から、ツイッターやSNSを使った選挙運動が合法化された。特に普及率が全国民の60%を超えているスマートフォンの無料の通信アプリの利用が多かったようだ。アメリカの大統領選挙さながらの電脳戦が展開されたのである。戸別訪問・選挙当日の運動もOK。アンケートによる予想の公表は1週間前までで「メディアによる誘導」を規制している。
韓国の記者は、次のように話す。
『韓国社会は敬老精神に代表される儒教文化の影響が強く「男性優位」である。大企業の女性役員の比率は1%に過ぎない。韓国は徴兵制度の国であり「大統領は軍の最高統帥権」を持つから「兵役の経験がない女性を大統領にする」ことには抵抗感があったが、多くの国民はそれでも彼女を選択したのである。画期的な出来事である。』
韓国の繁栄の基礎を作った故・パク大統領の娘であり「独身なのは国と結婚しているから・女性が大統領になれば女性差別はなくなる。危機の時代を乗り切るには女性の力が必要」と言う強いメッセージが有権者の心を捉えたのだと思う。
明らかに「韓国政治の潮目は変わる」と予感できる。こじれた日韓関係がほぐれてゆくことを期待したい。
来年は「巳年」。良いことが多い年と言われている。
最後に1年間のコラムのお付き合いを感謝し、皆様にとって新しい年が「よい年であること」を祈念いたします。
[気になる記事から時代のキーワードを読む/ライター 井上信一郎]
《NewsCafeコラム》