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貧困の連鎖がうまれない施策を

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厚生労働省は2013年度から、生活保護費のうちの生活扶助を3年間で740億円を減らす方針を決めました。これにより、8月から96%の世帯で支給基準が下がる見通しとなりました。生活保護費の支給基準が下がるということは「最低生活費」が下がることになり、生活保護を受給していない世帯にも影響がでることが心配されます。しかし、田村憲久厚生労働相は29日の閣議後の記者会見で「影響の出ない方向で調整したい」と述べ、他の政策に影響しないようにする方針を示しました。

生活保護は、憲法で認められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、かつ、自立を助長することを目的としています。「最低限度の生活」は、地域や世帯人数によって異なります。その目安となる金額を「最低生活費」と言います。その「最低生活費」を仮に10万とすると、全く収入がない場合は10万円が、2万円の収入の場合は8万円が支給額となります。

また子どもの貧困対策のために、学校教育法では、低所得者層に対して「就学援助制度」があります。生活保護世帯と、それに準ずる世帯の要保護者に対して支給されます。具体的には学用品費や通学費、クラブ活動費、給食費、修学旅行の積立金などとして使われます。これらの就学援助は「最低生活費」が基準となっているために、基準が下がれば、就学援助がもらえない世帯が増える可能性があります。

ある中学生は野球部に入部し、学校とは別のグラウンドで練習をしています。そのため交通費がかかりますが、現在、「就学援助」でまかなっています。給食費や修学旅行の積み立ても援助されているのです。もし、「最低生活費」が下がって、機械的に「就学援助」にも機械的に適用されれば、交通費が払えず、野球部を辞めなければならなくなる可能性が大きくなります。

ほかにも、生活保護の支給基準となる「最低生活費」が下がれば、住民税の非課税限度額にも影響が出てきます。単に生活保護世帯だけの問題ではなくなります。そのため、自民党内では、非課税世帯に影響がでないように検討中だといいます。

田村厚労相は会見で、就学援助について「影響の出ない方向で調整したい」と述べ、下村博文文部科学相と話し合いを始めたことを明らかにしました。生活保護世帯は教育になかなかお金をかけられません。できるだけ、貧困の連鎖がうまれない施策を望みたいと思います。


[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]

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