貧困の連鎖がうまれない施策を
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生活保護は、憲法で認められた「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、かつ、自立を助長することを目的としています。「最低限度の生活」は、地域や世帯人数によって異なります。その目安となる金額を「最低生活費」と言います。その「最低生活費」を仮に10万とすると、全く収入がない場合は10万円が、2万円の収入の場合は8万円が支給額となります。
また子どもの貧困対策のために、学校教育法では、低所得者層に対して「就学援助制度」があります。生活保護世帯と、それに準ずる世帯の要保護者に対して支給されます。具体的には学用品費や通学費、クラブ活動費、給食費、修学旅行の積立金などとして使われます。これらの就学援助は「最低生活費」が基準となっているために、基準が下がれば、就学援助がもらえない世帯が増える可能性があります。
ある中学生は野球部に入部し、学校とは別のグラウンドで練習をしています。そのため交通費がかかりますが、現在、「就学援助」でまかなっています。給食費や修学旅行の積み立ても援助されているのです。もし、「最低生活費」が下がって、機械的に「就学援助」にも機械的に適用されれば、交通費が払えず、野球部を辞めなければならなくなる可能性が大きくなります。
ほかにも、生活保護の支給基準となる「最低生活費」が下がれば、住民税の非課税限度額にも影響が出てきます。単に生活保護世帯だけの問題ではなくなります。そのため、自民党内では、非課税世帯に影響がでないように検討中だといいます。
田村厚労相は会見で、就学援助について「影響の出ない方向で調整したい」と述べ、下村博文文部科学相と話し合いを始めたことを明らかにしました。生活保護世帯は教育になかなかお金をかけられません。できるだけ、貧困の連鎖がうまれない施策を望みたいと思います。
[ライター 渋井哲也/生きづらさを抱える若者、ネットコミュニケーション、自殺問題などを取材 有料メルマガ「悩み、もがき。それでも...」(http://magazine.livedoor.com/magazine/21)を配信中]
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