江戸の「吉原」にも「コスプレイベント」があった! まだ幼い遊女の見習いまでが芸を披露した祭とは | NewsCafe

江戸の「吉原」にも「コスプレイベント」があった! まだ幼い遊女の見習いまでが芸を披露した祭とは

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江戸の「吉原」にも「コスプレイベント」があった! まだ幼い遊女の見習いまでが芸を披露した祭とは
江戸の「吉原」にも「コスプレイベント」があった! まだ幼い遊女の見習いまでが芸を披露した祭とは 全 1 枚 拡大写真
  

*TOP画像/りつ(安達祐実) 市兵衛(伊藤淳史) 大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」11話(3月16日放送)より(C)NHK

 

「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)ファンのみなさんが本作をより深く理解し、楽しめるように、40代50代働く女性の目線で毎話、作品の背景を深掘り解説していきます。今回は江戸時代における「吉原の祭」について見ていきましょう。

岡場所に客を奪われる中、吉原のイベントは集客の貴重な機会

吉原を語るとき、遊女たちの“苦”の部分について重視されるようになったのは比較的最近のことのように思います。当時、吉原はアミューズメントパークのようなもので、男性だけが魅了されたわけではありません。

吉原には女性を含む観光客も年間を通して出入りしていましたが、老若男女がとりわけ多く集まった時期は年に3回ありました。桜、玉菊灯籠(たまぎくどうろう)、俄(にわか)です。吉原で商売を営む人たちはこの地への集客やイメージアップのためにイベントにも力を入れていたのです。

また、『べらぼう』の1話では蔦屋重三郎(横浜流星)が老中・田沼意次(渡辺謙)に岡場所の取り締まりを頼むシーンがありました。史実でも、吉原の人たちは幕府に岡場所の取り締まりを求めながらも、集客のための努力をしていたのです。

吉原の三大イベント

吉原の三大イベント(桜、玉菊灯籠、俄)がどのようなものだったのか見ていきましょう。これらの期間は妓楼に上がらない客もメインストリートを多く行き来していました。

3月:桜

吉原は江戸で人気のお花見スポットでした。吉原では根付きのままの桜を調達し、メインストリートである仲の町通りに植えていました。

この通りには行燈(あんどん)も置かれたため夜桜も楽しめました。行燈で照らされた桜の下を歩く花魁の姿はさぞかし美しかったことでしょう。

なお、桜は4月になる前に撤収されました。

6月下旬~7月:玉菊灯籠(たまぎくどうろう)

江戸時代中期に亡くなった中万字屋(なかまんじや)の花魁・玉菊の追善供養のため、彼女と親睦があった引手茶屋がお盆に店の前に灯籠をつるしたことが玉菊灯籠のはじまりです。お洒落な灯籠や短冊をつけた灯籠を各店が競うようにしてしだいに飾るようになりました。

玉菊花魁は才色兼備で、気立てもよく、客だけでなく、一緒に働く女性たちからも好かれていたといわれています。大酒が原因で、25歳でこの世を去りました。

玉菊灯籠は7月末まで催され、この時期は吉原のメインストリートがにぎわっていました。夫婦で見物に訪れる客もいました。

8月:俄

俄は8月いっぱい行われ、昼間にも出し物があったため、女性や子どもも楽しんでいました。ちなみに、出し物は無料で鑑賞できました。

俄は現代でいうところコスプレイベント。普段は吉原の裏方を支えている芸者や禿(=遊女の見習い)が主体となって催されました。彼らは歌舞伎の役柄や歴史上の人物、物語上の人物などの扮装をし、即効芝居、踊り、演奏などの芸を披露しました。

また、引手茶屋の客や妓楼の客は2階の座敷から出し物を眺められました。いわゆる特等席ですね。

蔦重は1775年3月の真崎稲荷社(まつさきいなりしゃ)の附祭として催された吉原俄に合わせて『急戯花の名寄(にわかのなよせ)』を発行しました。この本の序文は蔦重が執筆。また、彼は吉原俄のガイドブック『明月余情』を1777年に発行しています。

蔦重は吉原俄を出版の力で盛り上げました。当時も今もガイドブックは祭やイベントを満喫するための大切なものでした。

吉原を訪れたら絶対買いたい!人気の「吉原土産」

吉原を訪れた観光客にとってお土産も楽しみの1つだったと思います。吉原一の名物といわれたのが、竹村伊勢の巻煎餅です。その他にも、揚屋町の山屋市衛門の豆腐、松屋庄兵衛が手がけた甘露梅(梅の実を紫蘇の葉で包んだ砂糖漬け)、すさき屋の漬菜が人気だったといわれています。

また、吉原土産で人気だったのが花魁の浮世絵です。私たちが観光地でポストカードを購入したり、ライブ会場でアーティストのブロマイドを購入したりするのに似ています。

花魁の浮世絵は男性だけでなく、女性からも人気だったそうですよ。美しい着物を身にまとい、髪の毛に煌びやかな飾りを付けた花魁は女性たちの憧れの的。当時の女性にとって花魁はファッションリーダーのような存在でした。現代の女性も同性のアイドルや宝塚スターのブロマイドを購入しますよね。時代を問わず、女性は美しい同性やステキな衣装に心ときめくものです。

吉原には遊女をメインターゲットにしたおしゃれなお店もあったため、旅行で訪れた市井の女性たちは物欲が掻き立てられたはずです。

本編では、女も子どもも楽しめる吉原のイベントについてお届けしました。

続いての▶▶吉原の大イベント俄(にわか)開催! そして涙を流して感動する女郎の姿に…

では、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK総合)の第11話を深堀りします!

参考資料

安藤優一郎『蔦屋重三郎と田沼時代の謎』PHP研究所 2024年

鈴木俊幸『蔦屋重三郎』平凡社 2012年

永井義男『花魁の家計簿』宝島社 2025年

堀口茉純『吉原はスゴイ: 江戸文化を育んだ魅惑の遊郭』PHP研究所 2018年


《OTONA SALONE》

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