更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」 | NewsCafe

更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」

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更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」
更年期後に「消える症状」と「そのまま残る症状」って?7万人のデータが教えてくれる「更年期の真実と、これからの人生」 全 1 枚 拡大写真
  

「更年期入り口の48歳のときと、54歳のいまでは、自分に出ている更年期症状がかなり違う気がするの。いまはホットフラッシュより悪寒が強いかも」。オトナサローネの更年期連載でおなじみ、ビューティライターの藤井優美さんが自身の更年期症状について教えてくれた言葉です。

女性ホルモンの変動の影響による「自覚症状」を詳しく分析した研究『10~70代女性のライフステージ別愁訴の変化 ―7万人のデータ解析に基づく横断的検討―』が2024年度の日本女性医学学会学術集会にて価値ある賞、水沼賞を受賞しました。この研究が始まった背景、新しく判明したこと、そしてそれらが私たちの生活にもたらしてくれるメリットについて、研究チームの一人、小林製薬 研究開発本部 医薬品開発部 漢方・生薬開発G 長谷川さんに伺いました。

スタートは「命の母AIお悩み相談」。予想以上に意義のあるデータがどんどん集まった

120年以上に渡り更年期世代の女性を支えてきた生薬製剤、「命の母」。そのブランドサイトに2021年「命の母AIお悩み相談」というチャットボットが実装されました。対話方式の質問にどんどん答えていくだけで「頭ぼんやりタイプ」など15タイプのどれに当てはまるかを解析し、監修医からの生活習慣改善アドバイスも表示されるというもの。月間3万人が利用、累計ユーザーは125万人を超えたといいますから、例えれば12-50歳の日本人女性約2600万人(月経がある世代の概数)のうち4%にも及ぶ人が利用したようなものです。

このチャットボットに寄せられたデータを解析した結果、これまで国内では長きに渡り未解明だった「女性ホルモン変動にまつわる症状変化」が明らかになった、というのが今回のお話です。そもそも、この研究はなぜ始まったのでしょうか?

「更年期世代の女性の約5割は自分の更年期症状に自覚があります。ですが、医学的診断に基づくと、実は自覚のない女性のうち約2割も症状がある、自覚できていないだけだという調査があります。なぜ2割ものギャップが出るのか? 更年期の症状は個人差があり、 自分の症状がよくある更年期症状ランキングにない場合、気づかずに見逃してしまうのではないでしょうか。更年期症状を自覚し、治療につなげるには、個人の不調のパターンと変化にフォーカスした解析が必要ではないかと考えたのです」

こう語るのは小林製薬 研究開発本部 医薬品開発部 漢方・生薬開発G 長谷川さん。「命の母」の研究開発担当の1人です。

研究開発といっても新製品開発のアイデアから有効性評価、発売後の対応まで業務の領域は多岐にわたるため、マーケティング部などと協働してブランド全貌を把握しながら業務を進めているのが特徴だそう。

写真はクリックで拡大

「チャットボットを実装したのが21年10月のこと。じつは『命の母』は更年期世代に限らず、15歳以上の全世代の女性のゆらぎに寄り添うブランドですので、このボットでも女性の不調を世代問わず幅広く知れたらいいかもしれないと思い、不調のフリーワード入力部分を作っていました。ところが、ここに予想を大きく上回る量と質で不調のデータが集まってきて。3カ月もしないうちにこのデータは解析して研究にまとめたいとメンバーの意志が固まりました」

解析は集団の中から似た例を集めていくつかのグループに分類する「クラスター分析」という手法で行いました。症状のパターンやボリュームがわかり、症状の変遷の理解がしやすくなる反面、精度を求める場合は大規模な母集団が必要になります。これまで日本人の不定愁訴の年齢変化に関する報告はいずれも200人程度の小規模なもので、年齢による変化を数万人規模の大きなデータで定量的に解析した報告はありませんでした。そもそもこれだけのデータをこれだけの精度で集めることが相当に困難ですから、無理もありません。

「やりがいのある挑戦ですが、先行研究がないということはクラスターに分ける上での参考要素も乏しいということ。困難が予想されました。ですが、これまで年齢や就労状況など固定的な軸で分類してきたからこそ、軸と軸のはざまにある症状の移り変わりがうまく拾い上げられず、自覚症状があっても気づけない状態が生まれたのではと感じて。ですから、こうした思い込みを捨ててクラスター相互の関係性を捉え直そうとトライを始めました」

「ココロ」と「カラダ」の症状はこんなに違った!?聞けば納得の「症状パターンの分布」

まず見出されたのは、「心」と「身体」の症状の出方は年齢で明らかに変化する、という興味深い結果でした。図1「各クラスターにおける年齢層別の出現率の分布図」をご覧ください。※1

クリックで拡大・図1「各クラスターにおける年齢層別の出現率の分布図」※1:円の大きさが出現率をあらわす。各クラスターのなかで特徴的な症状をクラスター名として命名

「特に性成熟期、10代後半から40代に入るまでの間が顕著です。クラスター2『情緒不安定』はとりわけ10代20代の若い世代で高く出ています。いっぽうクラスター5『イライラ』は30代後半から40代でピークが出ています」

クラスター9「のぼせ・汗」、クラスター13「くすみ」は更年期で上がってくるいっぽう、クラスター7「落ち込む・不安」は全世代を通じてさほど変化がありません。

「各クラスターの類似度を解析して並べ直してみたところ、1~8はおよそPMS、9~14は更年期、15~17は老年期に特徴的な症状を持つクラスターが該当しそうだと見出すことができました。更年期に該当する45~59歳の世代は5つのクラスタに分散しています」

クラスター9「のぼせ・汗」、10「焦燥感」、12「手のこわばり」、13「くすみ」、14「めまい・立ちくらみ」。いっぽう、60~74歳はクラスター16「物忘れ」が27%以上を占めています。

ここまでの記事では研究の背景とクラスターの解析結果について伺いました。関連記事ではこのほかテキストマイニングについての驚きの結果も伺います。

つづき>>>更年期のイライラ、40代と50代では「背景がものすごく違う」。「焦燥感」「むくみ」もきっかけ症状のひとつ?


《OTONA SALONE》

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