80歳の叔母とその友人、88歳のサチコさんの2人が(一社)日本介護美容セラピスト協会の「介護美容」にトライ。前編『80歳女性への美容「えっ、こんなに違うの?」その変化に姪がびっくり!表情や声、行動にも効果をもたらす「介護美容」とは?』ではサチコさんのスキンケアプロセスからスタートしました。後編ではメイクに進みます。
洗い流せない場合も考えて。ファンデーションの「下」の部分で可能な限り整える
では、いよいよメイクへ。「若い頃は、どんなメイクがお好きでしたか?」「ご趣味はカラオケなんですか?」と自然にコミュニケーションを図りながら化粧下地→コンシーラーと進めてゆく鈴木さん。さらに、サチコさんの笑顔を引き出します。

透明肌を作ってくれる化粧下地で、お肌がトーンアップ

前半のスキンケア効果で、コンシーラーが馴染みやすい
「高齢の方は口角が下がることも多いので、その辺りを意識して口角を上げるようにしてゆくんですが……あっ、サチコさんは上がってました(笑)。いつも笑顔だからですかね~」と鈴木さん。
これはマネしたいコットンわざ!なんと、手早くブラシがわりにして、ふんわりとメイク

感染予防などを考慮し、ファンデーションはコットンを割いて使用
普段はほとんどメイクをしないサチコさん。「思い切って華やかに変身したいわ(笑)」との希望で、ライトベージュのファンデーション後、「薔薇紅」のチークとそれに合わせた口紅を選びました。ちなみにチークはアイメイクとしても使用でき、コットンで付けることにより、ふんわりとした仕上がりに!

万能すぎるコットン。小さく割いてグルグル巻けばチップに!

縦ジワがあってもにじまないよう、まずはリップライナーから
口紅も感染予防などを踏まえて綿棒を使用します。鈴木さん曰く「口紅の色は皆さんすごく悩みますが、それが楽しい時間にもなっていて。『若い頃はどんな色を付けていましたか?』など会話が弾みやすいんです」。

眉には、白髪があっても馴染みやすいオリーブ系を使用。仕上げは綿棒を使い、ふんわりと!

「わぁ~変身しちゃった!」
ついに完成~! 鏡でご自身を見た瞬間、「若い頃に戻ったみたい(笑)」とうれしそうなサチコさん。「こんなにウキウキするなら、もっと早くからメイクしていれば良かったわ」と、「美容による心の変化」もしっかり感じたようでした。
肌と一緒に「心もうるおう」。スキンケアとメイクが「必要ない」女性なんて、きっといないんです!
サチコさんの施術後、叔母にも「メイクキュア セラピー」(30分)を同じ流れでお願いしました。「お肌が白くておキレイなので、ファンデーションはいらないかもしれません。今回はルースパウダー(おしろい)だけにしてみましょうか?」の提案に、少し戸惑いながらもワクワクしている様子の叔母。

今回はナチュラルメイクに挑戦
「いつもと違ってパウダーだけだから、色も冒険してみようかしら?」と、普段とは異なるベージュ系のチーク・アイカラーと口紅を選択。こんなふうに、メイクを通じてちょっとしたチャレンジができる。そんな出来事が、日々の楽しさにつながってゆくのかもしれません。

施術後は、肌も表情も明るく変化
スキンケアやメイクを通じて外見が変化したのはもちろん、内面の変化により、表情も明るく楽しそうな2人。翌日叔母に連絡すると、「久しぶりに(サチコさんに)会えてキレイにしてもらったし、このまま帰るのはもったいない」と、帰りにカフェでお茶とケーキを楽しんだよう。さらにサチコさんはその後、スキンケアやメイクを楽しむようになったとか。
今回、肌と一緒に「心もうるおう」2人の姿を間近で見たことで、介護美容の力、その可能性を改めて感じました。
同時に「認知症のお義母さんが体験したら、どうだろう?」とも! 鈴木さんによると、「認知症の方は『触れる』ことへの抵抗感が強いので、お顔ではなくハンドセラピーから行うケースが多いです。でも、少しずつコミュニケーションを図ることで気持ちが穏やかになり、受け入れてくれるように! 私の施術を続けてくださっている施設入居の利用者さんからは、介護美容を取り入れたことで『毎朝お化粧をして食堂に行くようになった』『ほかの入居者との交流が増えた』といった喜びの声をいただいています」とのこと。
まさに、美容がもたらす大きな変化! 「デイサービス拒否」「昼夜逆転生活」といった義母の課題に向き合う身としても、希望がもてます。貴重な「介護美容体験」を通じ、私も元気をもらった一日でした。
「一般社団法人日本介護美容セラピスト協会」によるビューティータッチセラピー
スキンケアやメーキャップを通して肌に触れることで、心や身体の健康を促す美容療法。1対1の施術はもちろん、グループでの施術やレッスンも可能。全国47都道府県すべてにセラピストが在籍しているのもうれしい! ご質問やセラピーのご依頼は、下記サイトよりお問い合わせください。
撮影/園田ゆきみ