デジハリ大、文科省のAI教育「MDASH」認定…ChatGPT Plus無償提供も

　デジタルハリウッド大学（DHU）は2025年11月19日、文部科学省が認定する2025年度の「MDASH（数理・AI・データサイエンス）リテラシープラス」に選定されたと発表した。全国で32校、私立大学では9校のみが認定されており、同大学の特色ある教育プログラムが高く評価された形だ。文部科学省のWebサイトでは、2025年度のプラス選定校における好事例としても紹介されている。

　文部科学省の「数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度」は、デジタル時代の「読み・書き・そろばん」と位置付けられる分野において、大学などが提供する正規課程のうち、一定の要件を満たす教育プログラムを文部科学大臣が認定する制度。制度により、大学などにおける数理・データサイエンス・AI教育の推進がさらに加速することが期待されている。

　DHUのプログラムには、おもに5つの特色がある。

　1つ目は、実務家教員と連携したカリキュラム。2025年4月からは、実務家教員として臼井拓水特任准教授を迎え、リテラシーレベルのカリキュラムを再開発した。ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル（LLM）の仕組みを学び、英語学習、リサーチ、論文読解、パーソナルAIアシスタント構築など、多様な活用法を実践的に体験する。これにより、学生は生成AIを有効に活用しながら、自らの判断で情報を分析・応用できる力を身に付ける。

　2つ目は、学生による生成AIの活用事例。デジタルコミュニケーション学部4年生の五嶋龍也氏は、架空の通信システムを題材としたWebシミュレーション「通信指令シミュレータ｜Emergency Communication Structure Simulator (ECSS)」を制作。制作にあたり、ChatGPT、Claude、Geminiという3つの生成AIを、それぞれ異なる専門性をもつ「チームメンバー」として役割分担させ、五嶋氏自身は全体統括と最終判断を担う監督として機能したという。プログラミング知識がなくてもシナリオ編集が可能な柔軟性を実現しており、将来的には架空の無線演出を必要とする映像作品の制作資料などへの応用も期待できる。

　3つ目は、クリエイティブ教育特化型壁打ちチューターAI「Ututor」の導入。neoAIと共同開発した「Ututor」は、学習者が制作した作品をもとに客観的な評価や改善提案を行うAI。グラフィックデザイン、WebUIデザイン、CG、動画などの制作プロセスを支援し、学習効果を高めることを目的としている。学生の課題作品に対してAIが評価と学習アドバイスを提供することで、クリエイティブ領域におけるAI活用を推進し、個別最適化された学びを実現する。

　4つ目は、「企業ゼミ」による実践的な学びとキャリア形成。同大学のキャリアセンターが主導し、企業ゼミ、インターンシップ、就職活動を一貫してコーディネート。企業のニーズに合わせたプログラムを展開している。

　5つ目は、学生への「ChatGPT Plus」無償提供。学生が生成AIを日常的に活用できる環境を整えている。

　デジタルハリウッド大学は2005年4月、文部科学省認可の大学として開学。デジタルコミュニケーション学部とデジタルコンテンツ研究科を設置している。デジタルコミュニケーション学部では、デジタルコンテンツと企画・コミュニケーションを幅広く学べる1学部1学科制を採用。デジタルコンテンツ研究科では、社会に変革を起こすリーダーの輩出を目指し、理論と実務を架橋する人材育成を行っている。