
今年は例年よりも早く全国的に猛威をふるっているインフルエンザ。予防接種をしたり健康的な生活を心がけたりと、インフルエンザ対策をしているオトナサローネ読者も多いでしょう。そんなインフルエンザ対策として、またダイエット効果も近年世界的に注目されているのが紅茶。今回は一般社団法人ウェルネス総合研究所が開催した「ポリフェノール研究セミナー『知られざる紅茶ポリフェノールの働き』最新知見」に参加して、静岡県立大学食品栄養科学部客員教授で農学博士の中山勉先生に、紅茶ポリフェノールの驚くべき働きについて詳しく聞いてきました。
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▶インフルエンザウイルスの感染能力を低減
紅茶が「インフルエンザAウイルスの感染能力を低減」させるという研究結果も
中山先生が注目する紅茶ポリフェノールの嬉しい効果として挙げられるのが感染症の感染率低減効果です。
マウスに2週間、インフルエンザウイルスを水で処理したものを経口投与したグループと、紅茶で処理したグループを比較。すると水では5日目から生存率が急激に下がり、10日目から生存率がゼロになりました。ところが紅茶では生存率が100%を保っていたという結果に。コロナウイルスの研究でも、カテキン類よりもテアフラビンのほうがより強くウイルスを不活化する作用がin vitro実験(試験管やシャーレを用いたモデル系での実験)で確認できました。
よく「インフルエンザには緑茶がいい」という話は聞いたことがあるかもしれませんが、これはカテキン類が作用しているからと考えられています。しかしインフルエンザウイルスやコロナウイルスに対する不活化効果の研究結果では、カテキン類よりも紅茶ポリフェノールのほうが同様な働きが低濃度で見られました。
紅茶ポリフェノールのインフルエンザウイルスやコロナウイルスに対する効果、血流に対する影響、コレステロール濃度の低減、脂質吸収の抑制、血管疾患、虚血性心疾患、脳卒中の死亡率の低下、抗肥満、抗腫瘍、抗ウイルス、抗酸化などさまざまな働きが期待されています。ヒトでの有効性はまだ実証されていないものの、今の時期の感染症対策に紅茶を飲むことは有用性があるのではないかと期待を寄せています。
▶大学教授が伝授!最大限に効果を発揮する飲み方は
大学教授が伝授!紅茶ポリフェノールの効果を最大限に生かせる飲み方とは
紅茶ポリフェノールのさまざまな効果を十分に働かせられる理想的な飲み方は以下の通りです。
まず紅茶にミルクを入れてミルクティーにすると、ミルクに含まれるカゼインというタンパク質と結合して紅茶ポリフェノールの効果が弱まってしまうためできればストレートで飲むのがいいでしょう。またポリフェノールは酸化しやすい一方でビタミンCはポリフェノールの酸化を抑えてくれるのでレモンを入れるのもおすすめです。
また世界中にたくさんの紅茶がありますが、基本的には好みで選んでください。特に種類によって紅茶ポリフェノールの効能が大きく変わるといったこともないので、自分が継続して飲みやすい種類や茶葉を選びましょう。脂質が多い食事のときは食事と一緒にいただき、それ以外なら飲む回数は1日のうちに何回も分けるとGOOD。「1日に1回、濃い紅茶をガブ飲みしてあとはおしまい」となってしまうのは紅茶ポリフェノールの効果をあまり期待できない可能性があります。
紅茶の飲み過ぎによる弊害は基本的にはないと考えていいものの、紅茶に含まれるカフェインによって寝つきが悪くなる人は就寝前の飲みすぎには注意しましょう。ただ紅茶はコーヒーよりカフェインより少ないため、副作用はそこまで心配しなくてもいいです。
紅茶ポリフェノールのさまざまな効果を生かすためには、市販のペットボトルの紅茶よりも、茶葉やティーバッグから淹れた紅茶を飲用する機会を増やすことが有効と考えられます。
新型コロナやインフルエンザから守ってくれたりダイエット効果が期待できたりと、紅茶ポリフェノールには体にいい作用がたくさん。ケーキのお供や午後の休憩のときなどに味や風味が好きで飲んでいた人も多いでしょう。しかし、これからは紅茶ポリフェノールの健康機能に注目して紅茶を飲んでみると、なんらかの変化を感じられるかもしれませんよ。
【解説】農学博士、静岡県立大学 食品栄養科学部 客員教授 中山 勉先生
東京大学農学部農芸化学科卒業。同大学院農学系研究科修士課程修了。長年にわたり、茶など植物性食品の成分(ポリフェノール)を研究。静岡県立大学、日本獣医生命科学大学、東京農業大学、の教授を歴任。



