ナジーバ・ヌーリ監督の『ハワの手習い』が8月1日(土)より、ザイナブ・エンテザール監督の『撃たれた自由の声を撮れ』が8月15日(土)より、それぞれ全国順次公開となる。
■『ハワの手習い』娘が母にカメラを向けたドキュメンタリー
首都・カーブルで認知症の夫を世話しながら暮らすハワ。30歳上の夫との結婚を強いられたとき、彼女はまだ13歳の少女だった。父は幼いハワを教育から遠ざけ、母は出産について何も助言してくれなかった。
6人の子を産んだ彼女は、同じ道に進まぬよう全力を尽くして娘に教育の機会を与え、次女のナジーバはジャーナリストとして自立した生活を送っている。そして、ナジーバは「母の味方になろう」と決意。母にカメラを向け話し相手を務めることに。夫の愚痴、秘密の恋の話、そして、"やってみたかったこと"について。
今年こそ、と民族手芸の商売と読み書きの学習を始めたハワ。しかし、タリバンによる襲撃と占領は日に日に進み、支配的な父親から逃れてきた孫娘のザハラーと、彼女を匿うハワたち家族にも命の危険が迫る。2021年8月、カーブル陥落。報道の自由を封殺する動きも強まり、ナジーバは兄のアリーにカメラを託し母国を離れることになる…。
本作はフランス、オランダ、カタール、アフガニスタンの合作(2024年・85分・ダリー語)。山形国際ドキュメンタリー映画祭2025で市民賞(観客賞)を受賞したほか、多数の賞を受賞・ノミネートしている。監督・撮影を務めたナジーバ・ヌーリは1995年、アフガニスタン・バーミヤン生まれ。15歳から報道機関でボランティアを行い、2019年からAFPでビデオジャーナリストとして活動。2021年、タリバンの復権を受けアフガンを離れ、現在はフランス在住。本作が初のドキュメンタリー作品となる。
ナジーバ・ヌーリ監督コメント
山形国際ドキュメンタリー映画祭で『ハワの手習い』をあれほど大切に受け止めていただいたことは私の心に深く刻まれています。ハワの物語が本当に国境を越え、皆さんの国、そして一人ひとりの心の内に居場所を得たのだと感じました。この映画が日本の劇場に届く一方で、いま、アフガニスタンは国際ニュースからほとんど姿を消しています。しかし何百万人もの女性たちにとって、日々の暮らしは一層の制約を受け、その声はさらに奪われつつあります。ハワの歩みは彼女ひとりのものではありません。たとえ世界の視線が途絶えても、なお静かに抗い続ける多くの女性たちの力強さをも宿しています。この映画をご覧になり、ハワに繋がりを感じ、家族や尊厳、屈することなき意志について想いを巡らせ、あなたのなかで響き合うことを願っています。■『撃たれた自由の声を撮れ』スカーフにスマートフォンを隠し撮影
2021年8月、タリバンがアフガニスタンのほぼ全土を掌握し、20年にわたる民主政権が崩壊した。タリバン復権によってふたたび女性たちは外で働く場を失い、教育の機会を奪われ、少女たちは親よりも年の離れた男たちと結婚させられ、家に閉じ込められる。
ラシュミンとナスタランの姉妹は、ほかの女性たちとともに街に出ては声を上げる。「私たちはひるまない」。銃を構えた男たちに言い放ち、この国の現状を発信すべくスカーフにスマートフォンを隠し撮影する。親族宅などを転々としながら抵抗を続けるが、デモに参加する女性たちを父親は軽蔑し、隣人からの密告にも怯える日々。「未来の子どもたちだけは私たちアフガン女性を誇りに思うはず」。次世代に同じ苦しみを経験させたくない、その想いが彼女たちを突き動かす…。
本作はアフガニスタン製作(2024年・70分・ダリー語)。アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭、フェニックス映画祭、ベイルート国際女性映画祭 スペシャル・メンション、サンタバーバラ国際映画祭などで上映され、複数の賞も受賞している。監督・撮影・製作のザイナブ・エンテザールはアフガニスタンの映画作家、プロデューサー、ライターで、国際映画祭で審査委員も務める。2014年に短編『Maryam』でデビューし、続く『House(Home)』(2016)はロカルノ国際映画祭で公式上映作品に選定された。以後の作品も170以上の国際映画祭で上映され、多くの賞を受賞。現在は亡命生活を送りつつ、アフガニスタンの女性たちの声を世界に向けて拡げ届ける映画制作や執筆活動を継続している。
ザイナブ・エンテザール監督コメント
撮影当時、私も多くのアフガニスタンの女性たちと同じように、恐怖、避難、そして安定を失う痛みを抱えながら生きていました。彼女たちと同じ場所に立ち、恐れや苦悩、希望を分かち合う者としての視点からこの作品は生まれたのです。私はこの映画を「アフガニスタンだけの物語」とは捉えていません。人間の自由、尊厳、教育、そして存在そのものの権利が脅かされるときに何が起こるのか。世界のどこであっても起こりうる普遍的な問題を映し出しています。映画は文化や国境を越えて理解を生み出し、自由を求める闘いが特定の国や民族だけのものではないことを、私たちに静かに思い起こさせてくれます。日本の皆さんに、本作を「同情」ではなく、「人としての結びつき」を持って受け止めていただければ嬉しいです。配給・東風のステートメント
今夏、ナジーバ・ヌーリ監督『ハワの手習い』、ザイナブ・エンテザール監督『撃たれた自由の声を撮れ』の2作品を劇場公開いたします。いずれもアフガニスタンを舞台に、ふたりの女性監督が文字通り命がけで作り上げたドキュメンタリー映画です。
民主政権下で培われていた希望、迫りくる抑圧の恐怖、そしてタリバン支配下でなお自由を求め続けるアフガニスタンの女性たちの抵抗を異なる視点から描いた2作品は、山形国際ドキュメンタリー映画祭2025で上映され、『ハワの手習い』は市民賞を受賞しました。
世界中が戦禍に飲み込まれるいま、“平和国家日本”という足元もまた揺らいでいます。この2作品を通して、自由を諦めない人びとの強さと、その声を奪われまいとする意志に出会っていただければ幸いです。
――配給会社 東風
『ハワの手習い』は8月1日(土)より、『撃たれた自由の声を撮れ』は8月15日(土)より、ポレポレ東中野、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて順次公開。



