
「登山」と聞くと、どのようなイメージが浮かびますか?健康になりそう、気持ちよさそう、など心身にプラスな印象がある一方、体力がないとできない、難しいのでは…と感じる人もいるかもしれません。
信州大学特任教授・医学博士の能勢博氏は、モンベル監修の山歩き入門本に収録されたインタビューの中で「年齢を重ねた人ほどメリットがたくさん」あると語っています。本記事では、能勢氏のインタビューから、登山の魅力と得られるメリットについてご紹介します。
※本記事は書籍『50歳からの のんびり山歩き入門: 低山からはじめよう! 』(モンベル:監修/ Gakken)から一部抜粋・編集したものです
計画を立てて決断することこそ登山の醍醐味
「登山をはじめてみたいけれど、体力に自信がない」という不安から、二の足を踏む人もいるのではないでしょうか。
「近所にある高低差50mくらいの公園でもいいんです、登ってみてください。病みつきになると思います(笑)。これは極端な例ですが、低山の定義は1000m以下ですから、何mでもいいんです。どんなに低い山でも登ると気持ちいいですよ。
先日も、京都の吉田山という標高100mちょっとの山に登ってきましたが、頂上から京都の街が一望できて気持ちよかった。満足感は山の高さに比例しません。だから体力に自信のない人は、公園の延長線上にあるところを1回登ってみましょう。
一般的に、中高年が1時間に登れる高度差というのは、体力のある人は400m、ない人は100m、平均すると200mくらいだと言われています。自分がどれくらい登れるかは、体験してみないとわかりません。だからまずは、登れそうなところからはじめてみる。もしキツかったら、頂上を目指さず、途中で引き返してもいいのです」
はじめの数回は、経験者に連れていってもらうと何かとスムーズですが、最終的には色々考えながら、自分で計画を立てることを能勢先生はすすめています。
「登山は、高い低いにかかわらず、ケガや転倒、遭難のリスクがつきもの。登山口がわかりにくいところもありますから、“すぐに見つかるかな”“数日前に雨が降ったから道がぬかるんでいるかな”など、前日は不安になるものです。登山中は、休憩するかこのまま登るか、天気が急変したら進むか留まるかを決断。そして下山後は、“これは持っていかなくてよかった”と反省をしたり。
自分で計画を立て、決断をして、不安を乗り越えていく。だから達成感があるんです。誰に言われるわけでもなく、自分の頭で決める。それがすごく面白いんですよ。私はそれこそが、登山のいちばんの魅力だと思っています」

年齢を重ねた人ほど得るものが多い
小さい決断の繰り返しに加え、どこに足を出すと「滑らないか」「ラクに登れるか」を常に考えて行動しているので、脳にも何らかのいい影響を与えていそうですが……。
「女性ホルモンが減少すると、脳の認知機能も低下すると言われていますが、体力がついてくると脳も活性化することがわかっています。『ウォーキングの科学10歳若返る、本当に効果的な歩き方』という著書の中でも書いていますが、ややキツいと感じる速度とゆっくり歩きを交互に行うインターバル速歩(※後述)を継続することで、「不安が軽減した」「ストレスに強くなった」といった効果が出ました。これは脳の血流が増えたことによるものだと考えられます。登山も然り。継続することによって脳も活性化しますから、中高年独特の不安というのは消えていくのではないでしょうか」
低山からはじめる登山は、年齢を重ねた人ほどメリットがたくさん。
「体力に自信がないなら、うんと低い山からはじめればいい。健康になるためにはじめるのではなく、自分なりの登山の魅力を見つけていただき、その副産物として体力や認知機能のアップ効果を享受してみてください」

医師直伝!体力がない人もバテにくくなる筋トレウォーキング
スピードに緩急をつけて持久力と筋力をアップ
医学博士の能勢 博先生が考案した「インターバル速歩」は、ややキツイと感じる(息が弾む)速歩と、ゆっくり歩きを繰り返すことで、効果的に必要な持久力と筋力がアップするウォーキング法。速歩によって心肺機能と筋力が刺激され、登山に必要な疲れにくい体を作ります。
10分間、速く歩き続けるのは無理でも、ゆっくり歩きと交互なら可能です。能勢先生の研究では、40代以上は効果が出やすいそう。体力に自信のない人は、速歩の時間を3分から減らしてもOK。自宅で行う足踏みとスクワットにも、ウォーキングと同じ効果があります。
3分ごとに速度を変える「インターバル速歩」
ここまでの記事では、中高年女性におすすめの「脳が活性化する行動」について主にご紹介しました。関連記事では、「50代女性に登山がおすすめな理由」を解説します。
つづき>>自分の体力、自覚できてる?健康になる、更年期の気分の落ち込みケアにもいい!50代女性に「登山」がおすすめな理由【医学博士が解説】
■監修:モンベル(mont・bell)
創業50年超の日本のアウトドア総合メーカー。“Function is Beauty(機能美)”と“Light & Fast(軽量と迅速)”をコンセプトに、レインウエアなどのアパレル、バックパックや登山靴、テントなどさまざまなアウトドア用品の開発、販売を行う。日本国内に約120店舗、海外にも店舗があり、国内外を問わずファン多数。そのほか、アウトドアイベントや登山技術に関する講習会、自治体と連携した地域創生、自然保護、災害支援、グループ会社では山岳雑誌『岳人』の発行など、幅広く活動を行っている。






