
「このまま夫婦でいるべきか、それとも新しい人生を選ぶべきか」――熟年離婚を考えるとき、多くの人が悩むのはその後の暮らしかもしれません。住まいはどうするのか、お金は足りるのか、ひとりになって孤立しないだろうか。気になりますよね。
本記事では、弁護士の服部弘氏、離婚カウンセラーの岡野あつこ氏が監修した書籍から、熟年離婚後の生活を考えるうえで欠かせない「4つの準備」を紹介します。
※本記事は書籍『離婚と離婚後の生活で 知りたいことが全部のってる本』(主婦の友社:編集、服部弘・岡野あつこ:監修/主婦の友社)から一部抜粋・編集したものです
※マンガ・イラスト/ヒダカマコト

熟年離婚の問題はお金・住まい・人・仕事
味方になってくれる人がいると、離婚後が楽になる
同居期間が20年以上や、50代以上の離婚を一般的に「熟年離婚」と呼びます。熟年離婚は増加傾向にあり、近年は同居期間が長い(35年以上)夫婦の離婚率が高い傾向があります。
人生100年時代といわれ、老後期間が長くなったことで、シニアになっても人生設計を見直すケースがふえているようです。子どもが自立して養育の必要がなくなったことも要因の一つでしょう。
熟年離婚にはこうしたポジティブな要因がある反面、老後の生活は切実な問題です。残りの人生をひとりで歩む経済力はあるか、住むところは確保できるか、年金や財産分与はどうするのかといった問題を、できる限りクリアにしておきましょう。
離婚後にどう生きていくか、どんな生活を送るのかを具体的にイメージしておくことが大切です。
特に大きいのは「人」の力を借りられるかどうか。熟年離婚でいきなりひとりになると、孤立感に悩む人も少なくありません。家族(子ども)、親族、友人、知人など、離婚後の生活で味方になってくれる人をふやしておくことはとても大切です。
平均寿命は男性81歳・女性87歳
日本人の平均寿命は男性が81.09歳、女性が87.13歳(厚生労働省「簡易生命表」2024年)。今後男女とも平均寿命の延伸が見込まれています。
熟年離婚の4つのポイント
大切なのは「老後」を視野に入れたセカンドライフをイメージすることです。
住まい
熟年離婚後の住まいの問題は重要。現在の家、実家、Uターン、子どもと暮らす、家を借りる or 買う、公営住宅に入居などの選択肢があります。自分らしいセカンドライフが送れる住まいを確保できるか、シニアの独居では賃貸住宅を借りにくい現実もあるが、経済面も考慮しましょう。

お金
離婚後に生活が成り立つかは、熟年離婚のカギ。財産分与、年金分割、退職金分割などで、いくらお金が残るのか、今後の生活にいくらかかるのかを試算することが大切です。老後の生活まで見据えて、ライフプランを立てておきましょう。

人
離婚後に頼りになるのは「人とのつながり」。気軽に交流できる友人や親戚はいるか、一緒に趣味などを楽しめる人はいるか、いざというときに頼れる人はいるかによって、離婚後の生活の質が変わります。離婚を決めたら、味方をふやすイメージで、人とのつながりを大切にしましょう。

仕事
離婚後は生活が不安定になりやすいため、可能なら働くことを考えましょう。仕事をしている人は継続を。パートやアルバイトでも、お金を稼ぐことは経済的な安心につながります。離婚によって住まいを移す場合などは、近隣で仕事を探せそうか、あたりをつけておくとよいでしょう。

ここまでの記事では主に、熟年離婚で大事な「4つの準備」を紹介しました。つづく関連記事では、慰謝料が認められるケースや請求のポイントについてお届けします。
つづき>>慰謝料請求には「時効」がある!期限が切れるのは何年後?離婚後に後悔しないための基礎知識
■服部 弘(ハットリ・ヒロシ)
弁護士。大原法律事務所所属。1982年京都大学法学部卒業。東京弁護士会所属。 離婚・相続など民事全般を扱う。 共著に『同一労働同一賃金の法律と実務』(中央経済社)、『和解をめぐる法務と税務の接点』(大蔵財務協会)、『相続法と相続税法 相続事案に対する法務・税務の対応』(ぎょうせい)。
■岡野 あつこ(オカノ・アツコ)
離婚カウンセラー、夫婦問題研究家、パートナーシップアドバイザー。公認心理師。立命館大学産業社会学部卒業。立教大学大学院修士課程(社会デザイン学)修了。36年間で約4万件の相談を受ける。悩みを乗り越えた経験を生かした「離婚相談救急隊」を運営し、離婚カウンセラー養成講座も開講中。YouTubeチャンネル「岡野あつこチャンネル」は登録者7万人。オンラインサロン「岡野あつこの卒婚塾」主宰。



